資生堂は店頭で受けたカウンセリングサービスをスマートフォンなどからいつでも振り返ることができるデジタルサービス「パーソナルビューティープラン」を2月にスタートした。店頭外でも美容体験がシームレスにできるという同サービスを試したところ、デジタル上でも美容スタッフ(以下、BC)の温かみを感じられるものだった。
「パーソナルビューティープラン」は、BCとデジタルの利便性をつなぎ、充実した美容体験を提供するサービスだ。まずは店頭に用意してある端末でスキンケアとメイクアップのどちらかを選択(今回はメイクアップを選んだ)。顔を撮影してもらうと、肌測定や眉の太さ、アイラインの入れ方などが表示される。パーソナルカラーも分かるので、それらを総合してBCのアドバイスが受けられる。
ただ、ここまでは他社でも同様のサービスはある。異なる部分は、自分が日常的に使用しているアイテム(他社製品を含む)を打ち込むことで、最適な使用順も表示されること。また、BCからのアドバイスをあえて手書きで書き込める仕様にもなっているため印象に残りやすい。これは「パーソナルな付き合いを進化させた形」(開発担当者)という。「AIで一人一人の適正製品を推奨するのは簡単だが、BCのアドバイスを反映し組み合わせるシステム開発に苦労した」と述べた。
画面上では、自分がなりたいイメージ(例えばかわいい、ゴージャスなど)を選ぶと、その雰囲気を演出できるアイテムが同社の製品の中でブランド横断で表示される。画面上でバーチャルメイクも試せるため、視覚的にも理解しやすい。気に入った色は実際に試すこともできるため「お客さまが求める接客(非接触、接触)が可能で、人とデジタルが融合することで新しい付加価値を提供する」ことができるようになった。ちなみにナチュラルメイクが基本の中で、なりたいイメージにゴージャスを選んでみたところ、目元がゴールドで彩られ新しい自分を知ることができた。トータルの所要時間は25分程度。時間の確保が難しい人には5分程度で対応することも可能だ。
一連の応対の記録は2次元コード(QRコード)を自分のスマートフォンで読み取ることで、いつでも振り返ることができる。自分の顔が表示され、そこにアイシャドウやアイラインの入れ方が手書きで記録されているため、印象に残るし理解もしやすい。そのほか、肌状態に合わせた効果的なお手入れ方法やURL添付機能によるおすすめ製品情報、ブランド情報、使い方動画などのコンテンツ視聴やウェブカウンセリング予約などにも対応。店頭外でもパーソナルな美容情報の体験ができるのがポイントだ。
同サービスは、同社がBCを派遣する全国の百貨店やGMS、ドラッグストア、化粧品専門店約3300店舗で導入中だ。同サービスで蓄積したパーソナルデータは、2020年から順次導入する店頭顧客管理システム(S-CORE)と連携し、将来的には化粧品だけでなく、インナーケアや睡眠、運動、ストレス、ホルモン変化などを加味し、パーソナルサービスの充実を図るという。