ファッション展覧会のオープニングイベント「メットガラ(MET GALA)」が5月2日、ニューヨークのメトロポリタン美術館(The Metropolitan Museum of Art)で開催された。“ファッションの祭典”としても知られる同イベントでは、テーマに合わせてセレブリティーや俳優らがレッドカーペットファッションを披露する。今回のテーマは、アメリカのファッションを探求した21年に引き続き、“イン アメリカ:アン アンソロジー オブ ファッション(In America: An Anthology of Fashion)”。1870〜90年代のアメリカにおける“金ピカ時代”を着想源に、「ギルディッド・グラマー(Gilded Glamour、金色に飾られた魅力)」がドレスコードだった。ここでは参加者の装いから、テーマ性にあっているか、その人らしさが表現されているかなどの観点でルックを紹介する。
ブレイク・ライヴリー
ホストを務めた俳優のブレイク・ライヴリー(Blake Lively)は、ストラップレスのコルセット風のドレスを選択。アール・デコ風のデザインが、錆びたようなコッパー色とよく馴染んでいる。ティアラは少し“トゥーマッチ(やりすぎ)”にも感じられるが、今やコスプレ大会にもなっている「メットガラ」にはぴったりかもしれない。
アリシア・キーズ
シンガー・ソングライター兼プロデューサーのアリシア・キーズ(Alicia Keys)は、テーマをよく理解した参加者の1人だった。“金ピカ時代”の要素は少ないものの、ケープにはニューヨーク市のスカイラインがデザインされていて、当時のニューヨークにラブレターを送っているかのよう。前から見ると派手で芸術的なスタイルだが、美しく広がるケープがルック全体を昇華している。
グレン・クローズ
「ヴァレンティノ(VALENTINO)」2022-23年秋冬コレクションでピエールパオロ・ピッチョーリ(Pierpaolo Piccioli)=クリエイティブ・ディレクターが打ち出した、通称“ヴァレンティノ・ピンク”のルックを選択した俳優のグレン・クローズ(Glenn Close)。刺繍を施したドラマチックなケープが、レッドカーペットで存在感を存分に発揮する本人によく似合っている。大胆なピンクをよく着こなしているが、あまりによく見かける色になってしまったのが残念だ。
コディ・スミット・マクフィー
コディ・スミット・マクフィー(Kodi Smit-McPhee)のように、若くフレッシュな存在には、白いタイは少しドーリーに映る。だからこそ、ジーンズや白シャツ、赤い手袋とうまく噛み合っていない印象だ。カラフルなスーツと合わせたら全体にまとまりが出たかもしれない。
カイリー・ジェンナー
カイリー・ジェンナー(Kylie Jenner)は「メットガラ」で結婚式を挙げるつもりだったのだろうか。「オフ-ホワイトc/o ヴァージル アブロー(OFF-WHITE c/o VIRGIL ABLOH)」のコレクションからのルックは間違いなくクールだが、“金ピカ時代”のテーマにはあっていない。
クリスティーン・バランスキー
初めて参加した「メットガラ」で70歳を迎えたクリスティーン・バランスキー(Christine Baranski)は、「トム ブラウン(THOM BROWNE)」の白いタイとコルセットで仕上げたジェンダー・フルイドな雰囲気がクール。バランスキーと「トム ブラウン」は最高のマッチだった。サングラスを加えることで、スターの貫禄を醸し出している。
ドウェイン・ウェイド/ガブリエル・ユニオン
ガブリエル・ユニオン(Gabrielle Union)は昔のハリウッドのムードをシルエットで取り入れ、3Dデザインのフローラルモチーフで目を引くルックに仕上げている。ドウェイン・ウェイド(Dwyane Wade)はダブルブレストの白いスーツを選択。第94回「アカデミー賞(Academy Awards)」の授賞式で、「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」のスーツを“シャツ無し”で着こなしたティモシー・シャラメ(Timothee Chalamet)が火付け役となったトレンドを自分らしく取り入れた。
ピート・デイヴィッドソン/キム・カーダシアン
交際中のキム・カーダシアン(Kim Kardasian)とコメディアンのピート・デイヴィッドソン(Pete Davidson)は、2人の関係性が話題を集めただけでなくベストドレッサーとしても注目だ。キムはマリリン・モンロー(Marilyn Monroe)が「Happy Birthday Mr. President」を歌った際に着ていたドレスを着用。普段ラフな装いが多いピートも「ディオール(DIOR)」のスーツでシックにまとめて参加した。キムの装いは素晴らしかったが、一方でマリリン・モンローがいかに唯一無二の存在であるかを感じるものでもあった。