ビューティ・インサイトは、「WWDJAPAN」のニュースを起点に識者が業界の展望を語る。今週はヘアサロンが男性美容のタッチポイントになる可能性の話。(この記事はWWDジャパン2022年4月25日・5月2日合併号からの抜粋です)
【賢者が選んだ注目ニュース】
TBC初のメンズコスメ「ルオント」誕生
「バルクオム」がメイクアップを全国のヘアサロンで展開
ピックアップした両記事は、どちらもメンズコスメに対して美容サロンが介在しているという点で注目した。メンズ美容・メンズコスメの広がりにおいて、美容サロンがタッチポイントとして鍵になると考えている。
若年層とビジネスパーソン 高まる男性の美容意識
男性の美容意識は若年層を中心に高まりを見せており、中でも肌ケアが浸透している。当社が実施した「美容センサス2021年下期≪美容意識・購買行動編≫」(21年12月)によると、10代後半〜20代男性の間では約4割が化粧水を使用し、2〜3割が乳液や美容液といったスペシャルケアを取り入れている。背景として、数年前から芸能人だけでなく、一般人がSNSでメイク動画を公開するなど、男性がメイクをすることは一部の特別な人に限らず手段としてやるものだという認識が広まったことがあげられる。加えて、韓流アイドルブームが火付け役となり、20代ではアイブロウやアイライナーといった目元のメイクが下地やフェースパウダーといったベースメイクと並ぶほどに利用されている。
若年層での広がりに対して、ビジネスパーソンの間でも美容意識の高まりが見られる。12年のアベノミクスを契機に、雇用者総数に占める女性比率は年々増加。職場に女性が増えたことで身だしなみを整える男性が増加したということが、「男性ビジネスパーソンのメイクに関する意識・実態調査」(20年6月)から分かる。職場や取引先で身だしなみを気にする理由としては、「周囲に不快感を与えたくないから」という回答が約8割を占め、職場の女性比率が高いと男性のメイク経験率が上がるということも分かっている。さらにコロナ禍はビジネスパーソンのメイクの浸透に大きく影響した。「美容センサス2021年下期 ≪美容意識・購買行動編≫」で、コロナ禍前後のコスメの購入率をスキンケアとメイクで比較したところ、女性はスキンケアでは変化はなかったが、メイクアイテムが顕著に低下した。一方で、男性のコスメの購入率は、スキンケアは横ばいだが、メイクアイテムは上昇。男性はコロナ禍でむしろコスメを購入するモチベーションが上がったことが分かる。加えて、メイクアップの頻度や時間について、女性は「減った」という回答が一番多かったのに対して、男性は「変わらない」が最多だった。
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