伊藤忠商事とロコンドは、共同で日本での「リーボック(REEBOK)」事業を展開する。10月にロコンドが66%、伊藤忠が34%を出資した合弁会社を設立し、「リーボック」日本事業を承継するほか、伊藤忠は「リーボック」の親会社である米オーセンティック・ブランズ・グループ(AUTHENTIC BRANDS GROUP以下、ABG)とマスターライセンス契約を締結。ロコンドは伊藤忠とサブライセンス契約を締結し、シューズのライセンス生産・販売も行う。資本金の金額は現在調整中。日本での「リーボック」事業のおおよそ100億円(小売り換算)規模だと見られるが、伊藤忠は2028年にライセンス商品も含め、小売り換算で200億円に引き上げる考え。また、伊藤忠は4月にも「アンダーアーマー」のドーム買収を発表しており、スポーツ分野での取り組みを加速する。
ロコンドはこれまでも、自社のオムニコマースプラットフォームを生かし、スペイン発ファストファッション「マンゴ(MANGO)」、英D2Cブランドの「カストーレ」など、外資ブランドの日本上陸のパートナーとなってきた。ただ、今回の「リーボック」は事業規模は100億円、伊藤忠をパートナーにECだけでなく、全国の直営店や卸も行うなど、事業規模もビジネスモデルも過去最大になる。「リーボック」事業は、リアルとデジタルを横断したオムニ型のプラットフォームを構築し、それらを活用したシューズとアパレル産業のDXを掲げてきたロコンドの集大成とも言える。今回の経緯などを田中裕輔ロコンド社長に聞いた。
WWDJAPAN(以下、WWD):今回の経緯は?
田中裕輔社長(以下、田中):オファーはABG/伊藤忠側からだった。「リーボック」は日本での売り上げの5割がオンラインで、ABGは「リーボック」で欧州での同様のパートナーシップをファーフェッチ傘下のニューガーズグループ(NEW GURARDS GROUP)と行っており、「シューズ×オンラインに強い会社」ということで日本では当社に白羽の矢が立った形だ。
WWD:承継の具体的な中身は?
田中:当社と伊藤忠で新会社を設立し、「リーボック」の日本事業を引き継ぐ。ただ、直営店の中にはアディダスジャパンと共同運営している店舗があり、引き継ぐ店舗は9店舗、全体の3割ほどになる。「リーボック」のシューズに関しては今後、日本でのオンラインとオフライン、いずれの販売権も獲得しているだけでなく、シューズに関してはライセンス権も獲得しており、新会社でそれらを行っていく。今後販売の仕組みも、リアル店舗とECを横断して使用できる当社のプラットフォームサービスをすべて導入する。
WWD:今後は?
田中:日本で「リーボック」事業を展開する新会社(ロコンド66%/伊藤忠34%出資)では、売り上げをも大幅に拡大しようとは思っていない。むしろ2〜3年をかけてABG/伊藤忠と共同でMDを丁寧に見直しつつ、店舗やECで横行している値引きを抑制し、「リーボック」ブランドを磨き直す。その上で大胆なECへのシフトチェンジを行い、EC化率を75%に引き上げる。ECも、自社ECを50%くらいに設定することで、自社でブランディングをコントロールできる体制にする。伊藤忠とは、この取り組みをきっかけにさまざまな事業提携も模索したい。