繊維商社ヤギの2022年3月期連結決算は、売上高が前期比0.5%減の775億円、経常利益が同39.9%減の13億と大幅減益となった。出資先の一部がコロナ禍の影響で苦戦し、早期回復が見込めないことから10億円の特別損失を計上。純利益は、同75.0%減の3億6000万円となった。なお今年度より新しい会計基準を適用したため、前年同期の数字も新基準に置き換えて算出している。
生産工場の稼働率低下や他地域への振替生産による経費増に加え、原材料費と物流コストの高騰などにより製造原価が上昇。その分を販売価格に転嫁できずに収益が悪化した。さらに経常利益も、粗利益率の低下に加え、新規連結による販売管理費の増加などで大きく落ち込んだ。
事業別では、マテリアル事業とアパレル事業の売上げが安定したものの、ブランド・ライフスタイル事業で実店舗の販売が低迷し、減収だった。売上構成比で44.2%と最も多いアパレル事業では、巣ごもり需要を取り込んだ通販向け商材と、しまむら、西松屋をはじめとした量販系専門店の受注が好調に推移。一方で、生産面における三重苦のコスト高により利益が圧迫され、前年同期より8億3000万円減少した。
マテリアル事業では、ストックビジネスが回復したテキスタイル販売と、自社加工糸、オーガニック糸などのサステナブル素材の販売が好調で利益が倍増した。ブランド事業では百貨店、セレクトショップを中心に一部の冬物重衣料が好調だったが、家庭用抗菌抗ウイルス商材を扱うライフスタイル事業で需要が落ち込む商材もあり、苦戦を強いられた。
中期経営計画の最終年度となる23年3月期は事業ポートフォリオの再構築に取り組み、「筋肉質の企業体質にして総合力を発揮していく」(八木隆夫社長)とし、売上高790億円、営業利益20億円、経常利益22億円、純利益11億円を見込んでいる。