ゴールドウインは、「ザ・ノース・フェイス(以下、TNF)」の新店舗「ザ・ノース・フェイス スフィア」を東京・原宿の明治通り沿いに7月1日開く。すでに「TNF」は原宿エリアに5店舗を営業しており、これで計6店舗の体制になる。それぞれ異なるコンセプトの直営店を近隣に集めて相乗効果を狙う。
原宿エリアの「TNF」は、明治通り沿いに本格的な登山に向けた旗艦店「マウンテン」のほか「オルター」「スタンダード」「マーチ」が並びあって営業している。さらに近くのキャットストリートには子供向けの「キッズ」がある。コンセプトが異なるとはいえ、1つのブランドが同じエリアにこれだけ集中出店する例は珍しい。
新店舗の「スフィア」は、アウトドア分野で注目を集めるアスレチックカテゴリーを販売する。同社が「マウンテン」の隣に建設した自社ビルに入る。7フロア(地下1階・地上6階)の約391平方メートルは売り場だけでなく、カスタムサービス拠点、オンラインを含めたコミュニケーションのイベントスペース、オフィス、テラスなどで構成する。
ゴールドウインにとって原宿は1993年に初の直営店「ウェザーステーション」(現在の「マウンテン」)を開いて以来、小売事業の戦略拠点として位置づけられてきた。大型旗艦店を作って1カ所で買い物を楽しんでもらうのがブランドの常套手段だが、原宿の「TNF」に関しては中型・小型の個性的な店舗を多店舗化してきた。渡辺貴生社長は「原宿では一つの顔ではなく、多様な顔を見せることで『TNF』のユニークさを表現してきた。コロナ下でしばらく海外のお客さまは途絶えているが、多くのファンと出合うため準備をしておく必要がある」と話す。
ゴールドウインは13日に発表した2022年3月期連結業績で、過去最高の売上高982億円(前期比8.6%増)を達成した。コロナ下でも「TNF」をはじめとするアウトドアブランドの販売が好調だった。