毎週発行している「WWDJAPAN」は、ファッション&ビューティの潮流やムーブメントの分析、ニュースの深堀りなどを通じて、業界の面白さ・奥深さを提供しています。巻頭特集では特に注目のキーワードやカテゴリー、市場をテーマに、業界活性化を図るべく熱いメッセージを発信。ここでは、そんな特集を担当記者がざっくばらんに振り返ります。(この記事は「WWDJAPAN」2022年5月16日号からの抜粋です)
横山:昨年から原料や輸送費などが上がって、食品の値上げも話題になっていました。ところが2月7日号で「高まる値上げ圧力」と題して取り上げたときに、アパレルは今春一部しか値上げしないという結果で。「なぜそんなに値上げしないんだろう」という疑問が、今回の特集につながりました。
林:アパレル業界の特異性が浮かび上がったよね。よく食品と比べられるけれど、シーズンに何百品番も新作が出るような業界は他にないからね。
横山:でも、逆に継続品番が少ないから、消費者に分からないように値上げできますよね。僕の感覚だと調達原価が上がっているのに、そのままスライドして値上げする、という意識がないのは本当に不思議です。
林:業界最大の課題だけれど、需給バランスが悪すぎる。ただでさえ売れ残って頻繁にセールしているブランドが値上げしたところで、誰が正価で買うのか。もちろん、売れ筋の定番の価格は据え置きして、新商品の価格で調整して利益確保を狙うけれど、そもそも供給過多というところが大きい。過去の消費増税でも、大きな影響を受けたから、強くないブランドはなかなか踏み切れない。前年と違うものを作っているので、わざわざ「上げます」とアナウンスする必要もないよね。一方、定番品を毎年同じ価格で売る鎌倉シャツは値上げを示唆している。価格への信頼性があるので受け入れられそうだが、そういう“誠実価格”のブランドやロイヤリティーの高いラグジュアリーブランドでないと難しいだろう。
横山:今に始まった問題ではないですが、供給過多を改めることが先決で、廃棄するものを減らし、値引きせずに売り切る体制を作ることが大事ですね。また、こういう時というのは、より低価格なブランドに注目が集まります。日本でも「シーイン(SHEIN)」旋風が巻き起こるかもしれないですね。産業自体の淘汰が進み、いよいよ構造改革が迫られそうです。僕は「業界のミカタ」連載でもおなじみのコンサル、齊藤孝浩さんの取材に感銘を受けて、「値上げにどう対応?」をテーマに急きょセミナーをお願いしました。6月17日13時半に開催予定です。乞うご期待です!
【WWDJAPAN Educations】
オンラインセミナーのご案内
アパレル値上げどうする?どうなる?対策セミナーを緊急開催
緊急開催!アパレル値上げ対策セミナー
講義日時:2022年6月17日(金)13:30~15:00
「WWDJAPAN」は5月16日号で「アパレル値上げ、どうする?どうなる」をテーマにした特集を行いました。同特集に関連して、6月17日にディマンドワークス代表の齊藤孝浩氏を講師に迎えた「アパレル値上げ対策セミナー」をオンラインで実施します。
秋冬以降に向けて店頭の製品価格をどう調整するか?単に販売価格に転嫁するだけでなく、コスト上昇の影響を最小限に抑え、お客様にも喜んで頂きながら、利益を確保するためにはどうすべきなのか?そのための考え方や戦略、方策は何か?
今回のコスト上昇は、これまでのオペレーションを見直す良いチャンスです。価格戦略の基本に立ち返りながら、既存ビジネスのブラッシュアップや在庫の適正化にもつながる事例もご紹介し、みなさんとご一緒に考えます。
※お申し込み、お支払いはPeatixでのお手続きとなります
※お申し込みは6月16日(木)12時で締め切りとなります