リーバイ・ストラウス(LEVI STRAUSS & CO.以下、リーバイス)はこのほど、多様性、公平性、包括性に関する報告書“ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン・インパクト・リポート 2021(DE&I Impact Report 2021)”を発表した。同社がこうしたリポートを公開するのは今回が初となる。
同社は、チップ・バーグ(Chip Bergh)最高経営責任者(CEO)を含む全員参加型のアプローチでDE&Iを進める。実際にバーグCEOは、毎月全社員と座談会を開き、社員からのダイバーシティに関することを含めたさまざまな質問や意見に彼自身が透明性を持って回答する機会を設けている。報告書の冒頭でバーグCEOは、「DE&Iは、プラスアルファで取り組むものではなく、私たちの事業活動全体と直結するものである」と説明している。
報告書によると、21年は前年と比較して経営層におけるラテン系の割合が5.3%から9.4%に急増、企業レベルでの黒人の割合は、5.6%から7.3%に増えた。米国内の従業員のうち黒人の割合は20年の18%から20.5%に、ラテン系は28%から36.8%に増えた。一方で経営層では白人が84.6%、アジア系が7.7%、ラテン系が7.7%、黒人は0%と大きな変化はなかった。女性の経営層の割合は、46.2%から61.5%となり、大きく進展した。また、隔年で実施する第三者機関の監査を経た結果「性別や民族による給与格差はない」と報告している。
こうした結果にたどり着くための同社の戦略は非常にシンプルで、「複数年にわたる戦略を構築し、コミットする」「慣行、方針、文化を評価する」「現状に挑戦する」「(これらのことを)徹底して行う」という4つのステップで取り組む。エリザベス A・モリソン(Elizabeth A. Morrison)DE&Iチーフオフィサーは、「何か大がかりな計画や戦略があるわけではなく、従業員との関わり方や共感できるリーダーになる方法など、マネジメントの基本的なことをなるべくわかりやすく伝えている。大切なことは従業員の声に耳を傾け、声をあげる場所を作ることだ」と話す。
モリソンDE&Iチーフオフィサーは、レポートを社員や社員支援グループと一緒に見直し、フィードバックを得たのち、経営幹部のアクションプラン作成に活用する。次年度に向けては、「引き続き、多様性の促進に努め、あらゆる人々にとって安心感や帰属意識を感じられる職場作りを目指す。そして今後より多くの従業員が会社全体のDE&Iに積極的に参加してくれることを期待する」という。