ファッション

「ゴーシャ ラブチンスキー」2016-17年秋冬パリ・メンズ・コレクション

REPORT

コム デ ギャルソンの川久保玲・社長が見守る中、同社が生産やPRをサポートする「ゴーシャ ラブチンスキー」が最新コレクションを発表した。ゴーシャは、ロシア(当時はソ連)出身で、今年32歳を迎えるデザイナー。ソ連邦の解体や共産主義の崩壊、東西冷戦の終了など激動の時代に青春期を迎えた彼は、その衝撃やロシアの宗教などインスピレーションを得て、91年生まれ、つまり、ソ連を知らない若者世代に向けてモノ作りを進めている。

16-17年秋冬も、そんな次世代を担う若者がモデルを演じて、少年が時に背伸びをしてカッコつけたり、時に傷ついて内向的になったりの瞬間を思わせるスタイルを発表した。カッコつけてる少年は、共産圏の若者にとってはたまらなく羨ましかったハズの、80年代のスタイル。ノースリーブのGジャンを基軸としたレイヤードで、ウォレットチェーンをつけてキメるが、Gジャンの下は作業着のようなワークシャツだし、そもそも、全てのアイテムはサイズがまったくフィットしておらず、滑稽に見える。ソ連の少年の、夢と現実が交差するスタイルだ。一方、内向的なスタイルは、ニットもスエットも、全てがオーバーサイズ。ニットはパンツインし、サスペンダーで強引に履きこなすスタイルは、半年前から続く、意図的にダサい「タッキー」なスタイルだ。

ファッションにおいては後進国の、しかも労働者階級の現実をスタイルに落とし込むため、「ゴーシャ」コレクションには、強い違和感を抱く人もいるだろう。しかしアプローチは、ジョナサン・アンダーソンやアレッサンドロ・ミケーレと同様。あらゆるカルチャーをフラットに捉え、彼はソ連や労働者、80年代を選んだだけ。万物に潜む魅力を、現代にふさわしい形で表現しようとしているだけだ。

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