REPORT
会場には、乾いた砂と、枯れかけた植物。「イッセイ ミヤケ メン」の2016-17年秋冬は、こうした過酷な環境下で生き抜く遊牧民のスタイルにヒントを得たアイテムで幕を開けた。序盤は、遊牧民が長年愛用してきたムード漂う、起毛感の高いニットがメイン。ニットには、馬の尻尾の毛をウールと混紡した特別な糸を用い、ターコイズやオレンジなど、鮮やかな色に染め、ガウンのよう仕立てた。モヘアで描く抽象画は、遊牧民の原始的だが幸せな原風景にインスパイアされたものだ。
中盤は、一転して都会的なムードに。ニットは体を包み込むオーバーサイズからボディーコンシャスに形を変え、ダスターコートやサイクリングパンツと組み合わせる。ダスターコートには、秋色の馬の蹄を刺しゅう。馬は、先シーズン同様、フォトグラファー平澤賢治が撮り下ろし、シャツなどを彩った。七色の馬は、平澤がサーモグラフィーで撮影したものだ。
厳しい環境を生き抜くからこそ、家族との団らんや、身を包んでくれる暖かな洋服など、些細な幸せを感謝することができる。今シーズンの「イッセイ ミヤケ メン」の洋服は、そんな小さな幸せを秋色で、生き抜くたくましさをスポーティーなスタイルで描きドッキングした。3シーズンぶりに、再び、快活な「イッセイ」メンズが戻ってきた印象だ。