ラグジュアリーファッション・フレグランス企業のプーチ(PUIG)は、「バイレード(BYREDO)」の過半数株式を取得した。取引額などの詳細は明らかにされていない。創業者のベン・ゴーラム(Ben Gorham)は、引き続きチーフ・クリエイティブ・オフィサーとして同ブランドを率いるという。
スウェーデン・ストックホルム発のフレグランスブランド「バイレード」は、プロのバスケットボール選手だったゴーラム創業者が2006年に立ち上げた。ミニマリスティックなパッケージとシンプルながらもユニークな香りが人気で、ファッショニスタの愛用者も多い。13年に、同じくフレグランスの「ディプティック(DYPTIQUE)」や、ニューヨークのスキンケアブランド「マリン&ゴッツ(MALIN+GOETZ)」などを保有する投資会社マンザニータ・キャピタル(MANZANITA CAPITAL以下、マンザニータ)の傘下となり、近年はカラーコスメ、レザーグッズ、アイウエアとカテゴリーを拡大していた。マンザニータは、21年9月頃から「バイレード」の売却を検討しており、22年5月中旬にはロレアル(L’OREAL)が買収するのではないかとの憶測が広まっていた。なお、今回の取引後もマンザニータは少数株主として残る。
プーチの21年度の売上高は25億8000万ユーロ(約3534億円)で、「バイレード」の売り上げは1億ドル(約127億円)を突破していると見られている。
マーク・プーチ(Marc Puig)=プーチ会長兼最高経営責任者(CEO)は、「『バイレード』を迎えることができ、大変うれしく思っている。同ブランドは、人々の自己表現力をエンパワーし、ESG(環境、社会、ガバナンス)アジェンダに強くコミットするという当社のパーパスをさらに強化してくれると確信している。当社の経験やリソースを活用し、モダン・ラグジュアリーを体現するこのユニークなブランドをさらに発展させていきたい」と語った。
ウィリアム・フィッシャー(William Fisher)=マンザニータCEOは、「当社は一族経営の会社で、『バイレード』は10年近くファミリーの一員だった。今後は、(プーチという)私たちと同じく素晴らしいブランドを育むことに情熱的な一族経営の会社と共に、「バイレード」の次章を作り上げていけることを誇らしく思っている」と述べた。