新潟・燕三条にアウトドア企業スノーピークは、2021年12月期の売上高が過去最高の257億円を記録し、コロナに見舞われながらも05年から16期連続の増収を達成した。5年で売上高2.5倍という勢いだ。この連載では、キーパーソンへのインタビューやステークホルダーの声から、同社が短期間で飛躍してきたヒントを探る。
第3回は、2016年にスタートしたtoBのコンサル事業“ビジネスソリューションズ”について。在庫管理システムの導入サポートといったITコンサルのほかに、キャンプギアを使ったオフィス空間の演出と、キャンプとビジネスを掛け合わせた研修プランというスノーピークらしいビジネスを行い、21年12月期の売上高は事業全体で9億円、キャンプギアとアパレルに次ぐ3番目の事業だ。同事業のマーケティングを統括する藤本洋介氏に、事業スタートの意外なきっかけと、プラン開発のポイントを聞く。最後には、キャンピングオフィスを導入する企業事例も紹介する。
「日本で年に1回以上キャンプする人口は全体の7%。残り93%の非キャンパーに対して、“働”の視点で野遊びの価値を伝えるのがわれわれの役目だ」。スノーピークビジネスソリューションズの藤本洋介取締役マーケティング戦略室室長はそう語る。同氏は“ビジネスソリューションズ”事業に立ち上げから携わってきた人物。「われわれの研修は、提携する宿泊施設の敷地にテントを張り、たき火を囲んでコミュニケーションをとって、夜は施設で宿泊してもらうのがベーシックなプラン。キックオフミーティングや新入社員研修などに活用される例が多い」。場所によって変動するが、料金は1泊で1人4万円〜、日帰りで1万5000円〜だ。コロナでコミュニケーションの場が失われていることもあり、研修は累計約300件で、昨年だけで約100件実施した。
オフィス開発は、「仕事だけどキャンプに来ているようなワクワク感を抱けるほか、通常のオフィス什器と比べて価格を抑えられるのも利点」で、これまでに約550件を手掛けてきた。リモートワークが進む一方、生産現場などは出社が必須の企業も多く、「それらの企業で働き方改革が進み、オフィス開発のニーズも高まっている」という。
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