空前のゴルフブームの追い風は、ビームスのゴルフレーベル「ビームス ゴルフ(BEAMS GOLF)」にも吹いている。2020年以降の売り上げは毎月5〜10%増のペースで伸長しているといい、今年4月には、東京・有楽町の旗艦店「ビームス&ウィンズ有楽町」を「ビームスゴルフ有楽町」としてリニューアルオープンした。19年にウエア契約を結ぶ女子プロゴルファー、渋野日向子選手が「AIG全英女子オープン」優勝時に着ていたポロシャツが話題となったが、岡誠プロダクト本部ゴルフ部課長と遠藤秀幸・戦略担当は「あの時とは全く質の違う勢いを感じる」と話す。特に女性誌からは「過去11年間で最多」というほど問い合わせが殺到しているという。
「ビームス ゴルフ」は、ルーツであるアメカジやアウトドア、ストリートファションの要素を取り入れたアプローチが強みだ。22-23年秋冬は、モノトーンと蛍光色の掛け合わせが中心のスポーツブランドにはあまりない柔らかいカラーを打ち出す。また、顧客層の約3割を占める女性顧客からは、「体のラインに沿うデザインではなく、メンズデザインをカジュアルに着たい」という要望が多かったことからユニセックスのアイテムを拡充した。「昔は男女がペアルックで着る用途が多かったが、最近はコミュニティーでそろいのアイテムを着ることがトレンドになっている」という。また、「ナイキ(NIKE)」のゴルフシューズ“ナイキ エア ジョーダン 1 ロー ゴルフ(NIKE AIR JORDAN 1 LOW “GOLF”)”も人気だ。
遠藤戦略担当によれば、米西海岸では今、ゴルフとストリートカルチャーとの融合が進んでいるのだという。名のあるサーファーやスケーター、セレブリティーがゴルフを楽しむようになっており、そうした新しいゴルフカルチャーを伝える雑誌なども出てきている。それがSNSを介して日本にも波及し始めているという。遠藤戦略担当は、「90年代の裏原カルチャーのようにファッション好きな層が自分たちの周りでカルチャーを流行らせていくような動きが、ゴルフ界隈でも生まれている。例えば仲間内で共通のグラフィックをパーカの背面にプリントして少量生産したゴルフウエアが非常に売れたり、ゴルフウエアに特化した古着屋ができたりしている。今のブームに甘んじず、ゴルフをしない層にもかっこいいと思ってもらえるアプローチや、他のスポーツともクロスオーバーできる提案で市場全体を盛り上げたい」と話す。