ファッション

VERDYが語る「ウェイステッド ユース」×「バドワイザー」への思い 「コラボ缶が初めて手に取る僕のアイテムになれば」

  グラフィックアーティストのVERDY(ヴェルディ)は、これまで数多くのコラボレーションを成功に導いてきた。5月には、“The King of Beers”と称されるアメリカ発のビールブランド「バドワイザー(BUDWEISER)」とのコラボを実現させ、自身の若い頃からの夢を一つ叶えた。

 今回のコラボはVERDYを代表するアートプロジェクト「ウェイステッド ユース(WASTED YOUTH)」との協業で、同プロジェクトを象徴するチューリップのグラフィックなどを落とし込んだ355mL缶と355mL缶の6本パッケージ、そして330mL瓶を用意した。缶は全国のコンビニやスーパー、量販店、アマゾンなどで販売中で、瓶は7月1日前後に発売する。東京・青山の「ピザ スライス2(PIZZA SLICE 2)」はコラボを記念して約1ヶ月間、店内に「ウェイステッド ユース」×「バドワイザー」のクラフトボックスを設置するなど、特別仕様になっている。

 日本全国規模という、VERDY史上最大級のプロジェクトとなった今回のコラボは、一体どのような経緯で実現したのか。東京・青山の「ピザ スライス2(PIZZA SLICE 2)」で「バドワイザー」とピザを片手に語ってもらった。

ーーコラボの経緯を教えてください。

VERDY:数年前に、知人経由で「バドワイザー」の担当者からコンタクトがあったんです。その時は、いろいろなアーティストが「バドワイザー」をテーマに作品を作るプロジェクトのオファーでした。「バドワイザー」は自分にとって特別なビールだったのでうれしかったんですけど、それよりも缶のデザインがしたいことを正直に伝えたら、規模感的にもすぐに実現できるものではないからと、保留になりました。

その後、新型コロナウイルスの流行で自分自身と見つめ直す時間が生まれました。以前は世界中を飛び回って「ガールズ ドント クライ(GIRLS DON'T CRY)」や「ウェイステッド ユース」、自分のキャラクター"ヴィック(VICK)”を海外に持っていく感覚だったのに、コロナ禍を経て、海外での経験を集約して新しいことを始めたいと思うようになったんです。本当に自分がやりたいことは何か、「ウェイステッド ユース」で一番ワクワクするプロジェクトは何かを考えたとき、「バドワイザー」の缶をデザインすることが頭に浮かびました。すぐに「バドワイザー」に電話して、「やっぱり缶をデザインしたいです。どうにかなりませんか?」って(笑)。こうして本当に実現に至りました。

ーー「ウェイステッド ユース」のロゴは、「バドワイザー」のロゴのサンプリングですよね?

VERDY:もともとは、「バドワイザー」のロゴをモチーフにしていたボストン・ハードコアバンドのギャング・グリーン(GANG GREEN)のオマージュです。「ウェイステッド ユース」は、僕が10~20代前半の頃に影響を受けたものをテーマに作っているプロジェクトなんですけど、「バドワイザー」もギャング・グリーンも好きだったので、「バドワイザー」の旧ロゴをサンプリングしました。だから初めて「バドワイザー」からコンタクトがあった時は、仕事のオファーではなく怒られると覚悟しましたね(笑)。サンプリングしていた側がオフィシャルとコラボするなんて、滅多にないことだと思います。

ーー立体物である缶や瓶をデザインする難しさはありましたか?

VERDY:頭の中に完全なイメージがある状態からスタートしていたので、コラボのOKが出れば数時間後にはデータを送れるくらいのテンションでしたね。オリジナルに忠実なデザインにしつつ、どこで自分らしさを出すかにこだわった結果、あえて横向きのデザインにしました。これは、自分が影響を受けてきた1980年代の「バドワイザー」の缶のデザインが横向きだったことに着想しています。アパレルでも、横向きのデザインのアイテムはなかなかないので、パッと見ただけで「ウェイステッド ユース」とのコラボだと分かるなと。

ーー全国に流通する商品なので、購買意欲を喚起させる商業的なアプローチも重要です。自分の思い描くデザインを貫けましたか?

VERDY:全てのデザインに言えるのですが、誰かに向けてというよりも自分らしいデザインを心掛けています。本気で取り組むから、お客さんに届いてきたと思っています。

ーーここまでのビッグプロジェクトは初めて?

VERDY:「ユニクロ(UNIQLO)」とのコラボも全国規模でしたけど、小さな町のコンビニでも「アマゾン(AMAZON)」でも買えるほど、本当にどこでも手に入るという意味では初めてかもしれません。これが今回の目的の一つでもありました。中学生の時、NIGO®さんの「ア ベイシング エイプ®(A BATHING APE®)」が「ペプシコーラ(PEPSI-COLA)」とコラボして、服は手に入れられなかったけど「ペプシコーラ」はコンビニで買えたんですよ。これと同じように、今回のコラボ缶はビールなので未成年は買えませんが、インスタグラムは見ているけどポップアップに行けなかったり、お金がなくて買えなかったりした人たちにとって、僕のアイテムを初めて手に取るきっかけになったらうれしいです。できる限りたくさん売りたいし、いろいろな人に届いてほしいんですよ。もしリセールサイトで売ろうとしている人がいても、全国流通しているので売れないと思います。そうしたら「売れないから飲んじゃうか。え、『バドワイザー』ってこんなおいしいの?」ってなってくれたらハッピーですね。

ーーイメージムービーでは缶を潰すシーンが映し出されていますね。。

VERDY:「ウェイステッド ユース」が初めてポップアップをオープンした時、ポスターを刷るお金もないくらいの状態でした。でも、どうしてもインスタレーション的なことをしたくて、コンビニで買ってきた「バドワイザー」の缶を潰して造花を添えて飾っていましたね。飲み終わった缶は潰してもいいし、単体で飾ってもいいし、花を挿してもかわいいと思います。

ーーフード系のコラボは以前にも経験はありますか?

VERDY:代々木上原のフレンチレストラン「エテ(ETE)」と、不定期にコラボケーキやチョコを作ってはいますね。フードでいうと、今年の夏に初めての自分のお店としてピザ屋を大阪にオープンします。僕のアイテムも販売し、ギャラリーも併設する予定です。

ーー今後も「バドワイザー」と何か計画していますか?

VERDY:個人的には一度きりよりも定期的にコラボがするような関係性が好きなので、来年以降も缶をデザインしたいし、いつかイベントを一緒に開催したい。長くリレーションを続けていきたいですね。僕のピザ屋で出すビールは、もちろん「バドワイザー」です。

関連タグの最新記事

最新号紹介

WWDJAPAN Weekly

リーダーたちに聞く「最強のファッション ✕ DX」

「WWDJAPAN」11月18日号の特集は、毎年恒例の「DX特集」です。今回はDXの先進企業&キーパーソンたちに「リテール」「サプライチェーン」「AI」そして「中国」の4つのテーマで迫ります。「シーイン」「TEMU」などメガ越境EC企業の台頭する一方、1992年には世界一だった日本企業の競争力は直近では38位にまで後退。その理由は生産性の低さです。DXは多くの日本企業の経営者にとって待ったなしの課…

詳細/購入はこちら

CONNECT WITH US モーニングダイジェスト
最新の業界ニュースを毎朝解説

前日のダイジェスト、読むべき業界ニュースを記者が選定し、解説を添えて毎朝お届けします(月曜〜金曜の平日配信、祝日・年末年始を除く)。 記事のアクセスランキングや週刊誌「WWDJAPAN Weekly」最新号も確認できます。

@icloud.com/@me.com/@mac.com 以外のアドレスでご登録ください。 ご登録いただくと弊社のプライバシーポリシーに同意したことになります。 This site is protected by reCAPTCHA and the Google Privacy Policy and Terms of Service apply.

メルマガ会員の登録が完了しました。