アシックスは、2025年までにパフォーマンスランニング市場のシェア1位を目指すと3日の事業戦略説明会で発表した。戦略の柱として北米、欧州、豪州の3つをあげ、特に好調な北米におけるマーケティング戦略を強化する。
直近では、7月にアメリカ・ユージーンで開催される世界陸上大会で“出場選手のブランド着用率15%”に向けて、一般ユーザーも含めた施策を行う。まずは大会を見据えて、エリートランナー向けシューズシリーズ“メタスピード(METASPEED)”の新モデルを発売する。同シリーズは走法によって好みのモデルを選べるシューズで、21年に第1弾を発売して以来、30のナショナルレコードを記録するなど、トップアスリートの足元を支えてきた。同シリーズを開発する“Cプロジェクト”の竹村周平部長は、「モデルごとにソールの厚みやカーボンプレートの形状をアップデートした。世界陸上での着用も期待している」と語る。
一般ユーザー向けの施策にも注力する。大会開催までの2カ月間、東海岸から西海岸までキャラバンカーを走らせて、20以上の町で健康意識の向上やアスリートとの交流、物販などを行う“アップリフト ツアー”を実施する。期間中は、ユージーンの競技場近辺にメディアブースと商談スペースを備えた拠点“アシックス ハウス”を構えて大会情報を発信し、地元の屋外広告をジャック。さらに7月17日(現地時間)には、一般ユーザー参加型の5kmのレースを世界陸上公式で開催する。どの施策でもグリーンをキーカラーとして打ち出し、“世界陸上のグリーン=アシックス”のイメージを持たせる。廣田康人アシックス社長は「われわれは同大会のランニング・レース競技で唯一のオフィシャルスポンサーを務める。大会の発信力をフルに活用し、世界におけるブランド認知向上に注力する」と意気込む。
2021年12月期のパフォーマンスランニングのカテゴリー売上高は2082億円で、北米は689億円で全体の33.1%。世界陸上のほかにも、ランニング専門店との連携強化を中心に積極的に投資する。