ジェンダー平等を求める声の高まりを受けて、ファッション&ビューティ業界でも業界のあり方から作る製品や広告、働く人の福祉など、さまざまな観点からジェンダーの構造や意味を問い直す議論が進んでいる。6月13日発売の「WWDJAPAN」ではファッション&ビューティ業界で活躍している女性25人にスポットライトを当て、業界の現状について思うことや女性活躍の推進に注力しているブランドや企業などを紹介。モデルとしてキャリアをスタートし、2021年にはトランスジェンダーが主人公の映画で当事者として主演を務めたイシヅカユウさんに聞いた。
WWDJAPAN(以下、WWD):モデルになった経緯とは?
イシヅカユウ(以下、イシヅカ):もともとデザイン学校の服飾科に通っていたが、事情が重なって途中で辞めることに。その後ヘアモデルをする機会があって、静岡を拠点としていたが東京でも仕事をするように。洋服が大好きでデザインにも興味があったので、モデルなら洋服作りにも関われるんじゃないか、と考えた。作り手の1人として、モデルや演技活動をしている感覚だ。
WWD:イシヅカさんの働く企業・業界での女性活躍の達成度は何%だと思うか。
イシヅカ:ファッション業界は、ほかの職種と比べて男女の垣根なく活躍している人が多いイメージがあったが、中身はすごく男性社会だなと思う。映像業界も同様。活躍している人の比率や、仕事の仕方、そもそもの在り方が男性中心的だ。変わってきているところもあるが、意外とまだ50%。可視化されているマイノリティーや女性の先に、まだまだ可視化されていない属性がある。
WWD:そう感じる理由は?
イシヅカ:「何かを作ろう」と動いているときに、男性だけで話が進んでいる感覚がある。特に映像業界では、現場に多様性がなく、それが当たり前になっている。いわゆる(生まれたときに割り当てられた性別と今の性自認が一致している)シスジェンダー男性にとって優位で、働きやすい構造があるのではないか。シフトの割り振りや労働時間、どうやって現場で振る舞うか、社内でキャリアアップをしていくかといったさまざまな要因が、男性でも大変なのに、男性でない人にはもっと大変なようにできている。女性を含むマイノリティーがステップアップするには、男性と同じように働くしかなく、その体制が業界を支えている気がする。
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