シップスが2022-23秋冬シーズンの展示会を行った。メンズは、カジュアル・ドレスともに“ブリティッシュ”をキーワードに、タータンチェックやフェアアイル、フランネルやツイードなどの柄・素材と、レトロアウトドア、ハンティングのテイストを盛り込む。
カジュアルスタイルの軸は、別注も含めた豊富なアウター・ライトアウターだ。「バブアー(BARBOUR)」の膝上丈コート“ゲームフェア(GAMEEAIR)”は、通常より薄い生地で制作し、身幅をやや大きくしてトレンド感を加えた。「マーモット(MARMOT)」のダウンベストは型から別注し、紫×シルバーなどレトロな配色に。開店45周年を迎えるシップス銀座店では、長年のファンが望むレトロムードを表現するため、「インバーティア(INVERTERE)」のダッフルを1980〜90年代のざっくりしたシルエットで限定販売する。これらに合わせるのは、昨年も好評だったクルーネックセーターやカーディガンなどのニット。ウールはもちろん、アルパカ、カシミヤ、ヤクなどの獣毛もあり、カラーもブルーやパープル、オレンジとバラエティーに富む。足元はスニーカーではなくカジュアルなブーツで、ソールまで同色で別注した「クラークス(CLARKS)」の“ワラビー(WALLABEE)”や、ローカットでスラックスに合わせやすくした「パラブーツ(PARABOOTS)」のマウンテンブーツなどを提案する。
ドレスは“クラシックの原点回帰”を掲げ、スーツとタキシードを強化する。在宅時間増加により一時はニーズが下がったが、「その反動からか、結婚式などのハレの場でも、ジャケパンではなくスーツを選ぶ人が多い。ビシッと決めたスタイルがよく動いている」と河野建徳シップス販売促進部プレス課は語る。オリジナルスーツとして、英国発の生地メーカーフォックスブラザーズ(FOX BROTHERS)のフランネル素材を使ったスリーピースを筆頭に、ベルベットのジャケットやタキシードなどを打ち出す。上下で10万円以上がメインだが、8万円台からでも手に入る。首元は「ステファノ・カウ(STEFANO CAU)」の芯地のないハリスツイードのネクタイで英国風に味付けする。「コロナ禍にも継続してスーツを提案したことで、“シップス=フォーマル”というイメージが定着しつつある。結婚式前にネクタイやチーフを求めて来店する客も多い。今シーズンは選択肢を増やしてニーズに応えるとともに、われわれのスタイルをしっかりと打ち出す」と河野プレス課。
そのほか、昨年12月に同社が商標を獲得し、2022年春夏にブランドを再始動させた米国発の「サウスウィック(SOUTHWICK)」では、「エンジニアド ガーメンツ(ENGINEERED GARMENTS)」「ナナミカ(NANAMICA)」など複数ブランドとのコラボアイテムを打ち出す。再始動の当初は30〜40代と50代以上のシニア層がターゲットだったが、雑誌掲載などで若年層の認知も広がり、「10万円近くするネイビーブレザーを大学生が指名買いする」(岡部邦彦・商品1部1課課長)など、“いいものを長く着るムード”が高まっているという。