ファッション&ビューティ業界の各企業やブランドは、SNSや広告、プレスリリース、ホームページや印刷物など、日々多くの情報を世の中に発信している。昔に比べて発信量は増え、届く相手も広がり、多様な人の意見が業界内外から届くようになった。特にジェンダー関連の表現は当事者の声が可視化され、より良い発信のためのアップデートが進んでいる。ここでは、「この表現がなぜ問題となるのか」「どんな言葉に置き換えたらいいか」を広告や企業のジェンダー表現の見直しを手伝うことも多い東京工業大学リベラルアーツ研究教育院准教授の治部れんげを招いて、常日ごろからモヤモヤ感を抱えるZ世代記者が共に考えた。
美人すぎる〜/美しすぎる〜/イケメンすぎる〜
WWDJAPAN(以下、WWD):ビューティ企業がアスリートを起用した広告のリリース文に使っていてモヤっとした表現。一般的に良くない表現ということが浸透しつつある気もするのですが、東京オリンピックの際にも使われていてびっくりしました。
治部れんげ(以下、治部):実力や能力を評価すべきはずが、見た目の美しさにフォーカスがいってしまいますよね。本人がそれを売りにしている場合は除きますが。
女性ならではの感性
WWD:ある大手企業の経営に関するハンドブックで、「女性ならではの感性を生かして」という表記が。女性の社員を褒める目的だとは思いますが……?
治部:褒めているつもりで「女性ならでは」という表現を使う人は多いです。しかし、個人の能力や特性を形作る要因を「性別」に結び付けてしまうことこそ、ジェンダーバイアスです。
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