毎週発行している「WWDJAPAN」は、ファッション&ビューティの潮流やムーブメントの分析、ニュースの深堀りなどを通じて、業界の面白さ・奥深さを提供しています。巻頭特集では特に注目のキーワードやカテゴリー、市場をテーマに、業界活性化を図るべく熱いメッセージを発信。ここでは、そんな特集を担当記者がざっくばらんに振り返ります。(この記事は「WWDJAPAN」2022年6月13日号からの抜粋です)
ソーン:昨年11月に米「WWD」の翻訳記事で「世界の女性リーダーTOP50」特集をして、女性として勇気づけられました。でも、日本を拠点とする人は少なくて、日本でも特集できないか、同時に当事者の声や現状も伝えたいと考えました。
五十君:企業にアンケートを取ってみると、ファッションやビューティの業界は他業界に比べれば「女性が活躍できる業界」なんだなと改めて感じました。「私たちの業界がリーダーシップを取っていこう!」というメッセージを出していけるといいんじゃないかと思いました。
ソーン:確かに進んでいる部分はありますが、「あそこよりは良い」という比較ではなく、今回の特集が進んでいるところと進んでいないところを見るきっかけになるとうれしいですね。
澤田:特集を作るにあたっては「女性活躍」と「ジェンダー平等」の言葉の使い方で悩みました。かつては違う文脈で使われることが多かったからです。ですが今回、「女性活躍=ジェンダー平等である」と回答した人が複数いて印象に残りました。
五十君:男女問わず、必ずしも皆が管理職になりたいわけではない点も難しいです。EUでは2026年までに、上場企業の取締役の33%以上を女性にしなさいという義務付けがちょうど出ましたね。
澤田:ビューティ企業の多くでは役員構成比が男女半々に至っていないのですが、販売職も含めると女性が圧倒的に多いので、本来役員の男女比もその比率にしていくべきではないかという考えを複数で聞きました。ソーンさんは何が印象に残りましたか?
ソーン:私はモデルのイシヅカユウさんに取材しましたが、男性ばかりで意思決定をした商品や制作物には、モヤっと感じる部分があり、作る過程での偏りを感じ取れるということなど、共感できるコメントがとても多かったです。女性をエンパワメントしたいですが、「活躍せよ」というのは、違いますよね。どんな形であれ、その人が幸せになれる環境にあるのか、そういう業界であるのかというのを見つめ直すことが大事だと思いました。