企業が期ごとに発表する決算書には、その企業を知る上で重要な数字やメッセージが記されている。企業分析を続けるプロは、どこに目を付け、そこから何を読み取るのか。この連載では「ユニクロ対ZARA」「アパレル・サバイバル」(共に日本経済新聞出版社)の著者でもある齊藤孝浩ディマンドワークス代表が、企業の決算書やリポートなどを読む際にどこに注目し、どう解釈するかを明かしていく。今回は丸井グループの財務諸表から、同社のビジネスモデルの進化を解説する。(この記事は「WWDJAPAN」2022年6月13日号からの抜粋です)
時代の変化に対応して先を行く商業施設の一例として、今回は丸井グループ(以下、丸井)の動向に注目します。
もともと丸井は月賦を提供する百貨店で、私と同じか上の世代の人たちは、みんな赤いカードを持っていましたよね。さらにここ何年かで、百貨店型の消化仕入れ型から、テナント誘致型、不動産型にシフトしています。そして今、クレジットカードを核にした金融会社に生まれ変わり、これからはそこで稼いだキャッシュフローを未来型の企業に投資するという、投資会社に生まれ変わろうとしていることが読み取れます。
まず注目したい数字は総取扱高で、3兆3734億円です。これだけ多くの流通に関与できているのはクレジットカード、エポスカードの利用金額3兆円超があるからです。
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