「カルティエ(CARTIER)」は7月7日、「サカイ(SACAI)」の阿部千登勢デザイナーとの対話から生まれた限定コレクション“カルティエ トリニティ フォー チトセ アベ オブ サカイ(以下、トリニティ フォー チトセ アベ)”を発売する。その発売を祝い、同日には表参道にポップアップストアをオープン。さらに6日には歌手の宇多田ヒカルを起用したフォト&ムービーを特設サイトで公開した。
限定コレクション“トリニティ フォー チトセ アベ”は、日本で世界先行発売。その後、パリやロンドン、ニューヨーク、ソウルなどの大都市で今後発売予定だ。
キャンペーンムービーに
宇多田ヒカルと児玉裕一
「カルティエ」と阿部が監修した“トリニティ フォー チトセ アベ”のキャンペーンムービーには、日本を代表する世界的アーティストの宇多田ヒカルと映像ディレクターの児玉裕一が選ばれた。
阿部のビジョンであり、今回のコレクションのテーマでもある“安心と裏切りのバランス“、クラシックで普遍的な“トリニティ”のDNA(=安心)は残しながらも、一度解体して新たなものに再構築した(=裏切り)絶秒なバランスは、キャンペーンムービーの中でも描かれている。空間に現れる3つの光のリングは、宇多田の身体に絡み合っていくように接近。彼女が光を迎え入れるように手を伸ばすと、新しく構築された“トリニティ”が実体化される。宇多田ヒカルによる「Somewhere Near Marseilles -マルセイユ辺り-」の楽曲と革新的なライティングの空間で、普遍的なデザインを持つ「カルティエ」のアイコン、“トリニティ”が進化する演出を楽しみたい。
キャンペーンムービーは、表参道のポップアップで展開するほか、限定コレクションのスペシャルサイトでも見ることができる。宇多田ヒカルの特別インタビューのほか、「カルティエ」の公式LINEアカウントのお友達限定でメイキングムービーも公開中だ。
表参道交差点のポップアップを
手がけたのは建築家の藤本壮介
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表参道にオープンするポップアップは、限定コレクション“トリニティ フォー チトセ アベ”のすべてを取り揃える。建築家の藤本壮介氏による空間も、阿部のビジョンであるクラシカルなものを解体して再構築する発想に基づき、“安心と裏切り”や“相反する価値観”を体現。東京の中で最も忙しい交差点の1つに森を設け、自然と人工、内部と外部、都市と森、現実と夢、自分と他者、伝統と未来などが溶け合う空間を創出した。“トリニティ フォー チトセ アベ”の本質を全身で感じることができる。
ショップのオープンに際しては、仮囲いの壁面に「カルティエ」を象徴する赤いマグネット3000枚を敷き詰めた。通行人が“トリニティ フォー チトセ アベ”の全容を知ることができるQRコード付きのマグネットを持ち帰ると、壁面にも限定コレクションの詳細が現れた。遊び心溢れる演出でローンチへの高揚感をかき立てた。
3色の色彩はそのままに
“トリニティ”が大変身
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“トリニティ フォー チトセ アベ”は、リング2モデルとブレスレット、ネックレス、シングルイヤリング、そしてシングルイヤリングとしてもリングとしても使える万能なピースの全6種。 ホワイトとイエロー、ピンクゴールドの3色のリングからなる色彩はそのままに、フォルムやカーブ、そして身につける位置、機能を大きく変えた。着用者の創意工夫を掻き立てる特徴は、アイデア次第で千変万化する「サカイ」のコレクションに通じる。
“トリニティ”は、1924年にルイ・カルティエ(Louis Cartier)がデザイン。ピンクとイエロー、ホワイトゴールドの3つのリングが絡み合うデザインが特徴だ。「カルティエ」のアイコンは、芸術家のジャン・コクトー(Jean Cocteau)を始め、多くの人々に愛され今に至っている。阿部は「“トリニティ”に込められた“愛” “友情”“忠誠”という原則は、とても大切」と話している。
「みんな知っている“トリニティ”を
見たことない永遠にする自信があった」
“トリニティ フォー チトセ アベ”について、阿部デザイナーとシリル・ヴィニュロン(Cyrille Vigneron)=カルティエ・インターナショナル プレジデント兼最高経営責任者(CEO)に話を聞いた。
WWDJAPAN(以下、WWD):2人の出会いは、いつ頃?そして限定コレクションはどうやって生まれた?
阿部千登勢デザイナー兼ファウンダー(以下、阿部デザイナー):数年前、ファッションショーの後にパリで私からアプローチしました。「一緒に何かできないか?」と申し出たんです。
シリル・ヴィニュロン=カルティエ インターナショナル プレジデント兼最高経営責任者(CEO)(以下、シリルCEO):「カルティエ」が大好きな千登勢に、「自分のために、スペシャルなコレクションを作ってみたら?」と提案しました。千登勢は、クラシックという概念を覆して、常に時を超越したファッションを生み出しています。どんな洋服も、いつ身につけても、時代を感じさせません。そしてベーシックから想像を膨らませているのに、スタイルはいつも「とても違う」。そんな彼女のために生まれる“トリニティ”を見たかったのです。
阿部デザイナー:私のための“トリニティ”なんて、なんだか少し恥ずかしいです。でも誰かと仕事をするときは、「自分が楽しいこと」「私が欲しいものを生み出せること」を重要視しています。アイデアを形にできるチームワークもすばらしかったし、「カルティエ」やシリルさんとの対話は、本当に楽しかった。理想的な協業でした。
WWD:「カルティエ」の数あるアイコニックなジュエリーから、“トリニティ”を選んだ理由は?正直“トリニティ”は、すでに完成されたデザインだと思うが。
阿部デザイナー:“トリニティ”は、誰もが知っている存在です。そして「サカイ」も、みんなが知っているニットやジャケットを、見たことのない“永遠のもの“にしています。私には、みんなが知っている“トリニティ”を、見たことがない、でも永遠のものにできる自信みたいなものがありました。個人的にも“トリニティ”は初めて買った「カルティエ」のジュエリー。みんなが「一度は通る道」だと思います。そんな存在に新しい解釈を加え、新たなものとして作り上げる。それは、本当に光栄なことでした。
シリルCEO:1924年の誕生から間もなく100周年を迎える“トリニティ”は、ピンクとイエロー、そしてホワイトゴールドが愛と友情、忠誠を表しています。3つのゴールド、そして3つの想いのコンビネーションで成り立つ“トリニティ”は、ニットやジャージー、布地を組み合わせる「サカイ」のコレクションに通じるのでは?と考えました。硬質的な3つの素材を流動的に、そして大胆に解体・再構築するのは、とても千登勢らしい。ほら「サカイ」のコレクションも、タフなミリタリースタイルを解体・再構築して、柔らかさを手に入れているでしょう?
WWD:“トリニティ フォー チトセ アベ”のデザインアプローチは、「サカイ」の洋服と違う?
阿部デザイナー:アプローチは、変わりません。全ては、バランスが大事だと思っています。融合するスタイルのバランス、組み合わせる素材のバランスはもちろん、私は仕事とプライベートのバランスも意識してコレクションを生み出しています。それは、今回の限定コレクションでも変わりません。
シリルCEO:「カルティエ」にとっては、チャレンジもありました。指や首などに用いるジュエリーには強度と着け心地の双方で、さまざまな制限が存在します。デザイナーの想いをジュエリーとして仕立てあげるには、ジュエラーとしての知識と技術が必要でした。
WWD:“トリニティ フォー チトセ アベ”で再び“トリニティ”にスポットライトを当てる試みは、近年時計の“パンテール”や“サントス”“タンク”などの名品にフォーカスする戦略に通じている?
シリルCEO:全く逆のアプローチです。時計は、「カルティエ」のアイコンを今日最もふさわしい形に変更することで、未来に継承しようとしています。例えば“サントス”は、マスキュリンな大きさばかりでしたが、今の時代にふさわしいサイズも世に送り出しました。私の新しい“サントス”は娘に取られてしまいましたが、こうやって女性にも、そして若い世代にも受け継がれることで、“サントス”は未来に残るのです。一方の“トリニティ フォー チトセ アベ”は、シンプルなアイコンの魂を受け継ぎ、スペシャルにするもの。千登勢の力を借りて、新たなクリエイティブを生み出すことに挑戦したのです。全く違う試みですが、こうしたチャレンジスピリットもまた、“トリニティ”や「カルティエ」を未来に繋ぐものだと信じています。
場所:表参道交差点(東京都港区南青山5-1-1):
期間:7月7〜25日
営業時間:11:00〜19:00
入場無料
SHOJI UCHIDA ©CARTIER、
DAICI ANO ©CARTIER、
TSUKASA NAKAGAWA
カルティエ カスタマー サービスセンター
0120-301-757