資生堂はこのほど、日本に入国したウクライナ避難民に向けた支援の一環としてチャリティコンサート「資生堂チャリティーコンサート“MUSIC for PEACE”」をサントリーホールで開催した。コンサートの収益約3000万円をウクライナ避難民の日本での生活費や学費補助などに活用する。
同社はこれまでウクライナへの緊急支援として100万ユーロ(約1億3000万円)をUNHCR(国連難民高等弁務官事務所)を通じて、避難民の支援活動に寄付したり、洗顔料などの5万個の同社製品、社員や家族から提供されたベビーフードを含む生活必需品を送付したりしてきた。その中で、「1000人強のウクライナ避難民が日本に入国し、言葉が通じない中で生活する大変さを少しでもサポートしたい」(魚谷雅彦資生堂社長CEO)とチャリティーコンサートを企画した。
魚谷社長CEOは「3月末の株主総会でチャリティーコンサートを開催したいと発言したところ、好意的な反応が多かった」という。魚谷社長自らサントリーやセイコー、大和証券グループ、東京海上日動、電通などに働きかけ協賛・協力を得て、2カ月で実現した。約2000枚のチケットは即日完売するほど支持を集めた。
コンサートには日本で活躍するウクライナ出身のソプラノ歌手、オクサーナ・ステパニュック(Oksana Stepanyuku)氏とバス歌手、デニス・ビシュニャ(Denys Vyshnia)氏を迎えたほか、ピアニストの仲道郁代氏、ヴァイオリニストの成田達輝氏、東京混声合唱団なども参加。ウクライナ民謡やピアノ協奏曲、日本古謡などを披露した。
「当社は創業当時からメセナ活動に取り組み、そのDNAを引き継いでいる。ピープルファーストの経営を推し進める中で、ソリダリティー(連帯)がキーワードになっている。社員間でも連携することで底力が養える。そうした連携を重ねながら今後も継続的な支援を行う」と述べた。