「グッチ(GUCCI)」は、ミラノ・メンズ・ファッション・ウイーク会期中の6月20日に、歌手のハリー・スタイルズ(Harry Styles)と制作したコレクション“グッチ ハ ハ ハ(GUCCI HA HA HA)”をプレゼンテーション形式で発表した。会場は、ミラノで最も古いビンテージショップの一つキャヴァリ・エ・ナストリ・モーラ(Cavalli e Nastri Mora)だ。ラックには同店のビンテージ品と共に“グッチ ハ ハ ハ”のピースを並べ、装飾も新旧ミックスしたもので飾った。
コレクションは、「グッチ」のブランドのキャンペーンにも登場したスタイルズとクリエイティブ・ディレクターのアレッサンドロ・ミケーレ(Alessandro Michele)がアイデアを出し合って制作した。ミケーレが「夢のワードローブを作ろう」とハリーに提案したことが協業の出発点だったという。1970年代のポップカルチャーとボヘミアンスタイルをテーラリングに落とし込み、子供服に用いられるような動物や果物のモチーフでエキセントリックなスパイスを加えた。70年代のイギリスで仕立てられたテーラードのシルエットに、ダブルブレストのコートや、”プリンス・オブ・ウェールズ”と称されるグレンチェック柄など、ハリーの出身地であるイギリスの要素もふんだんに盛り込んだ。
ミケーレは各国のジャーナリストに向けてカンファレンスを開き、「ハリーが『グッチ』のスーツを着こなす姿を見てきて、その延長線で生まれたコレクションだ」と説明する。さらに「彼はメンズスーツを多様化させた人物であり、テーラードという格式あるピースでさえ、着る人の感性とアティチュードによって自由に着用できることを証明した。僕にとってファッションとは“自由”を意味する。ルールに縛られることなく、ハリーとのテキストメッセージでの気さくな対話を通して“グッチ ハ ハ ハ”を制作した」と続けた。カジュアルな文面上で(笑)を意味するコレクション名は、「ハリーとのテキストメッセージが、決まってこのフレーズで終わる」からだという。また、無邪気でかわいいモチーフは、最も自由な感性を持っていた幼少期の記憶をたどって描いた。コレクションラインよりもウエラブルな内容ではあるものの、「コマーシャルを意識したのではなく、テーリングの美しさに焦点を当てて、人生の一部になる洋服を届けたいというのが僕らの思いだ」と述べる。同コレクションは、10月中旬頃に発売予定だ。