ビューティ

「♯白髪ぼかし」がバズり客単価5000円アップ 福岡の人気美容師のサロンワークに迫る

 福岡市の大名にあるヘアサロン「キャンディ(Candi)」の市山博基・店長は、自身のインスタグラムにアップした“白髪ぼかし”の記事がバズり、一躍人気者となった。“白髪ぼかし”とは、白髪を黒染めするのではなく、ハイライト(線状に一部の髪を細かくブリーチして明るくし、立体感を出す技術)を活用して白髪を生かす施術のこと。白髪ぼかしに注力するようになってから、それまでほとんどいなかった年上の顧客が徐々に増え、現在では約7割に達し、客単価が5000円アップしたという。

WWDJAPAN(以下、WWD):白髪ぼかしに注力するようになったきっかけは?

市山店長(以下、市山):今から2年前くらいに、東京で美容師をやっている友人が、白髪ぼかしでバズっていたんです。それまで、私はナチュラルハイライトには力を入れていて、白髪を生かすお客さまもいたのですが、仕上がりをSNSに投稿していなかったんです。「SNSに上げても、白髪世代の方はSNSなんてあまり見ないだろう」と思っていたので。ところがその友人に「上げた方がいいよ。福岡ではまだ白髪ぼかしを投稿している人はあまりいないから、絶対最初にやった方がいい」と言われたんです。当時私は30歳で、美容師として新たな方向性を模索していた時期でもあったので、言われた通りに投稿し始めました。それがきっかけですね。

WWD:SNSの反応は?

市山:投稿し始めてから3カ月間くらいは、正直見られている感じはしなかったですね。でもそこからぽつぽつと白髪世代の新客が増え始めて、やがて増え方が加速し、いわゆる“バズり状態”になりました。新規のお客さまに来店理由を聞くと、「インスタを見た」という方が大半でした。インスタを始めた理由を聞くと、「子どもの影響で……」という方が圧倒的に多かったです。特にファーストグレイ世代には、子どもが携帯を持ち始める年齢の方も多く、意外とSNS活用率は高かったんです。

WWD:当時、白髪ぼかしに注力している美容師はあまりいなかった?

市山:多くはなかったですね。面白いことに、東京に1人、北海道に1人、みたいな感じで、各地に1人ずつ白髪ぼかしで“プチバズり”している美容師がいたんです。それで、“大名では市山”といった立ち位置になれたと思っています。やり始めて気付いたのですが、今の30代後半~50代前半の世代には、若い頃に“ギャル文化”に触れていた方が多く、ヘアカラーで遊んでいた人たちなので、ハイライトに抵抗がないんです。「またカラーで遊べる」くらいの感覚でチャレンジしてくれているようです。

WWD:具体的にはどんな白髪ぼかしを提案している?

市山:私が提案しているのは“ナチュラルな白髪ぼかし”です。そもそも白髪ぼかしというのは、「髪を明るくして白髪をぼかしましょう」という提案からスタートしています。ところが、私の顧客からは「暗いままでぼけないんですか?」という問い合わせが多かったんです。これは結構難題だったのですが、いろいろと研究して、カラー剤の調合でバランスをとることでできるようになりました。その“ナチュラルな白髪ぼかし”の需要は高く、今では私の提案の主流になっています。

WWD:ハイライトが目立たない白髪ぼかし?

市山:そうです。当初は“白髪ぼかしハイライト”とうたっていたのですが、最近では単に“白髪ぼかし”と言っています。“ハイライト”を付けると、ハイライトを目立たせないといけないので。例えば東京の美容師の“#白髪ぼかし”の投稿を見ると、スジ感が目立ちます。その方が映えるし、派手な感じを好むお客さまが多いのだと思います。でも福岡のお客さまにその画像を見せると、「こんなに目立たせたくない」と言われるケースがとても多いんです。ハイライトを目立たせたいお客さまは一握りで、「白髪をぼかすためにハイライトを入れる」というニーズの方が高い。「ほかの美容師のインスタも見たけれど、市山さんのが一番自分に合いそうだと思って来ました」という方も増えましたね。

WWD:インスタに投稿する際のコツは?

市山:私は、“ビフォー&アフター画像をしっかり載せる”ことだと思っています。私は自然にやっていたのですが、「ほかの人のインスタにはビフォー&アフターがないのに、市山さんの投稿にはあったから分かりやすい」ともよく言われます。改めて調べてみると、確かに、意外とアップで分かりやすいビフォー&アフターは少ないんです。ビフォーは根元のアップだったのに、アフターは引きになってしまっている画像とかよくありますね。

WWD:白髪ぼかしを提案するメリットは?

市山:高めの年齢層のお客さまが増えたことと、黒染めからデザインカラーに移行したことで、客単価が約5000円アップしました。あと「白髪染めのために美容室に行くのは“義務”で億劫だったのに、色を選べる白髪ぼかしにしてからは、美容室に行くのが楽しみになった」とも言ってもらえます。美容師として、とてもうれしいですね。

関連タグの最新記事

ビューティの最新記事

最新号紹介

WWDJAPAN Weekly

27メディアが登場、これが私たち自慢の“ナンバーワン”【WWDJAPAN BEAUTY付録:化粧品専門店サバイバル最前線】

11月25日発売号は、毎年恒例のメディア特集です。今年のテーマは "ナンバーワン"。出版社や新興メディアは昨今、ウェブサイトやSNSでスピーディーな情報発信をしたり、フェスやアワードなどのイベントを実施したり、自社クリエイティブやIPを用いてソリューション事業を行ったりなど、事業を多角化しています。そのような状況だからこそ、「この分野ならナンバーワン!」と言えるような核を持てているかが重要です。

詳細/購入はこちら

CONNECT WITH US モーニングダイジェスト
最新の業界ニュースを毎朝解説

前日のダイジェスト、読むべき業界ニュースを記者が選定し、解説を添えて毎朝お届けします(月曜〜金曜の平日配信、祝日・年末年始を除く)。 記事のアクセスランキングや週刊誌「WWDJAPAN Weekly」最新号も確認できます。

@icloud.com/@me.com/@mac.com 以外のアドレスでご登録ください。 ご登録いただくと弊社のプライバシーポリシーに同意したことになります。 This site is protected by reCAPTCHA and the Google Privacy Policy and Terms of Service apply.

メルマガ会員の登録が完了しました。