三越伊勢丹ホールディングスが個人外商の売上高拡大に本腰を入れる。今年4月に外商組織を再編して「外商統括部」を新設した。個人外商と法人外商、伊勢丹新宿本店と三越日本橋本店などで分かれていた組織を統合。それぞれの品ぞろえを掛け合わせ、商品提案力の幅を広げる。顧客から吸い上げた好みやニーズなどをデータとして社内で共有することで、外商部員の知見に頼った属人的なビジネススタイルから脱却し、チームでセールスに当たる体制を構築する。
同社の22年3月期の個人外商売上高は790億円。コロナ以前の20年3月期(716億円)と比較して2ケタの増加となった。買い上げ金額で上位5%の「上位顧客」からの売り上げは伊勢丹新宿本店では3.2ポイント伸びて50.9%、三越日本橋本店では3.0ポイント伸長し48.3%に達した。また、「店舗販売の傾向に反して、外商販売では若い世代が増加している」と外商統括部個人外商グループの金井脩平計画部長。49歳以下の購買額は伊勢丹新宿本店で5.2ポイント、三越日本橋本店では1.9ポイント伸びた。
拡大する富裕層マーケットの需要に応えるべく、ファッションをはじめ最先端のトレンドアイテムがそろう伊勢丹新宿本店と、世界中から集めた宝飾やアートなど貴重な品ぞろえに強い三越日本橋本店の双方のMDを生かす。さらに社内で共有した顧客データを元に、各商品カテゴリーのバイヤーや地域店などと連携。百貨店ならではのバイイングネットワークを生かして提案する。「ゆくゆくはお客さまが保有する車や不動産の売買仲介など、これまでの百貨店の枠組みを超えたニーズにも対応していきたい」。