「サルヴァトーレ フェラガモ(SALVATORE FERRAGAMO以下、フェラガモ)」は米ニューヨーク・ソーホーに6月24日、新店舗をオープンした。広さは約250平方メートル。“没入型”、“モジュール型”、“コラボレーション型”の3種の空間を用意し、同ブランド初のコンセプトストアという位置付けだ。
同店の外観はソーホーの建物の特徴である柱などはそのままに、店内は「フェラガモ」の他店舗同様に淡いブルーにペイントされている。アルミニウムの棚はモジュール式で、大きな鏡のディスプレーも可動式なため、商品入れ替えやイベント時に開放できるように設計されている。
注力したのはもちろん品ぞろえで、このソーホー店限定のアイテムを多く用意する。特にソーホーのロゴをプリントし、「フェラガモ」のシグネチャーである金具“ガンチーニ”をあしらったバッグ“スタジオ”(3000ドル、約40万円)、メタリックレザーの“ボックスバッグ”、アッパー部分に漁網のリサイクル素材を使用したサステナブルなユニセックススニーカー、“6r3ene”などが注目アイテムだ。
“6r3ene”は、店内に設置されたタッチスクリーンでカスタマイズできる。3Dのホログラムを見ながら、スニーカーの色やシューレース、ソール部分など46種のバリエーションの中から選ぶことができる。店頭で注文してから納品まで10週間程度で、価格は1150ドル(約15万5000円)だ。タッチスクリーン部分のインスタレーションはクリエイティブスタジオ、ディーヤン(DE-YAN)と提携して制作した。
店内にはディーヤンとデジタルアーティスト、シェイクスピア(Shxpir)のコラボレーションで制作されたNFTブースも用意。このブースではシェイクスピアがデザインしたステッカーを使ってNFTアートを制作することができる。ブースには高性能のカメラが設置されており、等身大のスクリーンで自身の作品を確認しながら制作することができる。制作した作品は256個限定で、NFTのマーケットプレイス「オープンシー(Opensea)」を通してイーサリアムのブロックチェーンでミントすることが可能だ。ミントにかかる費用はすべて「フェラガモ」が負担する。
ダニエラ・ヴィターレ(Daniella Vitale)「フェラガモ」北米最高経営責任者(CEO)は、このような没入型のテクノロジー要素を新店舗に備えた理由について、「クールで他とは違う体験を取り入れたかった。でも操作は簡単で、すぐにその世界に入り込むことができる。若者はSNSやEメールにNFT作品を載せて自己表現している。NFTは社会的な通貨なのだろう。新店舗は、人々が集まり、時間を過ごし、何か新しいことを経験できるユニークな空間だ」と説明する。
6月のプライド月間には、シェイクスピアのNFTのグラフィックをプリントしたTシャツ250枚とスウェット150枚ををそれぞれ350ドル(約4万7000円)と650ドル(約8万7000円)で限定販売した。その収益はマンハッタン・ウェストヴィレッジのレズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダーセンター(The Lesbian, Gay, Bisexual, Transgender Center)に寄付される予定だ。
3月に若手デザイナーのマクシミリアン・デイヴィス(Maximilian Davis)が「フェラガモ」クリエイティブ・ディレクターに就任したが、彼のディレクションのもとアップデートされた小売り戦略が2023年半ばに発表されるという。