一般社団法人日本プロフェッショナル販売員協会(以下、JASPA)はこのほど、サステナビリティをテーマとした定例勉強会の第4回を開催した。今回はZ世代の環境意識への理解を深めることを目的に、学生団体Rethink Fashion Waseda(以下、ReF)のメンバー8人と「WWDJAPAN」編集統括兼サステナビリティ・ディレクターの向千鶴をゲストスピーカーに迎えた。JASPA会員企業のLVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON)やロレアル(L’OREAL)、大丸松坂屋百貨店、オンワードホールディングスなど11社から約120人がオンラインで参加した。
ReFは、早稲田大学国際教養学部に所属する学生が立ち上げ、主にサステナブルファッションにまつわる情報発信を行う団体。現在はさまざまな大学から約65人が参加する。勉強会では事前に会員企業から募った質問を元に、山内秀樹パルグループホールディングス顧問がファシリテーターとなり、彼女たちの消費行動や企業に求めることなどについて議論した。
ReFのメンバーを対象に実施したアンケートでは、「大量生産大量廃棄」「マイクロプラスチック汚染」「人種問題」「ジェンダー平等」「児童労働」などが特に関心が高い項目として上がった。一方で、詳しく知らない項目としては「パーム油と森林破壊」「綿花栽培の水使用」「染色汚水」「産地高齢化」「文化の盗用」が上がった。
ReFのメンバーが服を購入するときには、「ファストファッションブランドは購入しない」「リサイクル可能な素材を選ぶ」「長く着られるものを選ぶ」といった点を意識しているという。メンバーは、「サステナブルファッションへの取り組み方は十人十色だ。サステナブルは、デザインや素材などと同様にあくまで選ぶ基準の1つでしかない」と強調した。一方で、ファストファッションを楽しむ同世代も多く、「自分たちはマイノリティーだと感じる。“意識高い系”と壁を作られてしまうことが悩みだ」という。
また買い物に出かけた際に、店頭の販売スタッフがサステナビリティという言葉を知らずに驚いたことや、気になったサステナブル商品がワンシーズンで終わっていたといった経験についても語った。「“サステナブル”をうたいながらも具体的に何がサステナブルかについて記載がない商品もある。“サステナブル”という言葉をトレンドとして使っている商品には違和感がある」と意見した。サステナブル素材を使った商品は相対的に値段が高い傾向にあるが、「私たちも投資だと思って購入しているので、企業も同じようにコストを吸収する努力をしてほしい。その企業努力を公開することで良いアピールになると思う」と話した。
活動のモチベーションについて聞かれると、「私たちの住まいである地球を守るためだ。気候変動がこのまま進行すれば、飢餓や気温上昇など自分たちの生命を脅かすことになる。みんなが自分ごと化して取り組むべき課題だと思う。企業はビジョンを掲げるだけで終わらず、具体的な数値目標を設定して取り組んでほしい」とメッセージを投げた。