グッチ(GUCCI)はこのほど、循環型経済を推進する英エレン・マッカーサー財団(ELLEN MACARTHUR FOUNDATION)と戦略的パートナーシップを締結した。循環型の原則に沿った製品デザインと環境再生型農業への取り組みを強化する。
同財団はグッチの取り組みを分析し、廃棄物・汚染の削減、製品と資源の循環、自然の再生という循環型の原則を、デザインの発想過程に取り入れるサポートをする。加えて、循環型経済に関する知識やノウハウを深めるための教育プログラムも提供する。そのほかのアプローチとして、「グッチ」が2020年から投資を拡大させている環境再生型農業プロジェクトを支援していく計画だ。
サステナビリティに関する21年度の活動内容をまとめた「グッチ エクリブリウム インパクトレポート」最新版によると、商品面では独自に開発した再生可能な非動物由来の素材“デメトラ”を70以上の製品に採用した。原材料のトレーサビリティーを向上させ、植物性由来および動物性由来の原料については99%のトレーサビリティを達成した。また、「グッチ アップ(Gucci-Up)」プログラムを通した製造工程における廃棄物の削減や、レザー製品の製造過程におけるフットプリントの削減への取り組み成果についても報告した。
再生型農業からの原料調達に向けては、ウール、レザー、コットン、シルクおよびリネンの再生型農業プロジェクトの立ち上げに着手したほか、自社のサプライチェーンに含まれる農場とパートナーシップを締結し、ウール、シルク、コットン、リネンの生産に必要な再生型農法の導入を支援した。
サプライチェーンのカーボンフットプリントは、15年以降の成長率に対して総カーボンフットプリントを49%、温室効果ガス排出量を46%削減した。18年以降、全スコープ区分でカーボンニュートラルを維持している。また、店舗やオフィス、工場がある49カ国のうち、44カ国でクリーンエネルギーの使用率が100%となった。
人権面では、インクルーシブな職場環境づくりやジェンダー平等を目指すグローバルキャンペーン「チャイム フォー チェンジ(CHIME FOR CHANGE)」を通じた貢献の成果などについても報告した。
マルコ・ビッザーリ(Marco Bizzarri)社長兼最高経営責任者は、「私たちは常に実験と進化を繰り返し、ブランドのコミュニティーのみならずより広い世界にポジティブな影響を与えられるように努力している。2回目となるインパクトレポートの発表は、責任あるサステナブルなビジネスを構築し続ける決意の証だ。エレン・マッカーサー財団との新たなパートナーシップを通じて、これまでの取り組みを発展させながら、循環型経済と再生型農業への歩みをさらに加速させることができるだろう」とコメントした。