「ディオール(DIOR)」は、「ヴァレンティノ(VALENTINO)」が伊ローマのスペイン階段でオートクチュール・コレクションのショーを開催したことで近隣店舗が営業困難となったとして損害賠償を求めていたが、翌日にその要求を撤回したようだ。
情報筋によると、「ディオール」は、「ヴァレンティノ」に対して15日以内に10万ユーロ(約1300万円)の支払いを求める書簡を送ったが、今度はそれを無視するよう求めているという。また、その際に両メゾンの「友好関係」や「互いに対する尊敬の念」という言葉が使用されたという。
米「WWD」が確認したクリスチャン ディオール イタリア(CHRISTIAN DIOR ITALIA)のリテールマネージャー名義の書簡によると、コンドッティ通りの角にあるスペイン階段に面した「ディオール」の店舗が開店休業状態となったと主張。「ヴァレンティノ」に対して15日以内に10万ユーロ(約1300万円)を支払うよう求めていた。
「ディオール」が1日で要求を撤回した理由は明らかになっていないが、世界最大のラグジュアリーコングロマリットの一員である「ディオール」の規模からみても今回の行動は多くの人が「ケチ」だと感じたようで、ソーシャルメディア上で批判を浴びていた。
「ディオール」によると、「ヴァレンティノ」はスペイン広場という有名な観光名所でイベントを開催するために数カ月前から警察や複数の関係当局に許可を求めていたという。また、「ヴァレンティノ」が6月27日に近隣の小売店に対して送付した書簡には、「通常と変わらない来客数を保証」すると記載されていたものの、ショー当日の夜の状況は「一切(約束が)守られていなかった」という。
「ディオール」は、ブティックへのアクセスが「妨げられ」、顧客は「通行を拒否され、障壁でブロックされた」ため、店舗は「午後の早い時間から開店休業状態だった」と述べ、イベントが「確実に収益が(大きく)上がる日」である金曜日に開催されたことで損害が「増幅」したと主張し、「ヴァレンティノ」が期日までに10万ユーロを支払わない場合、「ディオール」は「権利を守るために必要な手段をすべて講じる」と主張していた。