英ロンドンを拠点とする新鋭デジタルプロダクトブランド「ナッシング(NOTHING)」が、初のAndroid版スマートフォン“Phone (1)”を発売した。ホワイトとブラックの2カラー展開で、価格はRAM 8GB/ROM 128GBのモデルが税込6万3800円、RAM 8GB/ROM 256GBのモデルが同6万9800円、RAM 8GB/ROM 256GBのモデルが同7万9800円。現在、「ナッシング」の公式サイトをはじめ、東京・渋谷のセレクトショップ「キス トウキョウ(KITH TOKYO)」や「蔦屋家電+」、その他家電量販店などで取り扱い中だ。
このたび発売にあわせ、東京を代表するセレクトショップ1LDKで長らくディレクターを務め、現在はファッション・ディレクターとして活躍する三好良氏に“Phone (1)”を使用してもらい、その使い心地やデザインの魅力について語ってもらった。プロフェッショナルの視点から見る“Phone (1)”とは?
「スケルトンに惹かれる男性は多いですよね」
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ーーまずは、“Phone (1)”の第一印象を教えてください。
三好:やはり、特徴でもあるスケルトンの背面が目を引きましたね。僕自身、1LDKで働いている時にスケルトンの腕時計をデザインしたり、アトリエに置いてあるチェアがプラスチック製の“プリア(Plia)”だったり、なぜか透明で光ったりするものが好きで、同じようにスケルトンに惹かれる男性は多いですよね。どこか無機質でインダストリアルだけど柔らかい雰囲気は、アトリエのテンションにも合うなと思いました。
ーー実際に使用してみた感想は?
三好:一般的なスマートフォンは、机に置いたときにディスプレイを上にしなければ通知が来たかどうかが分かりませんが、“Phone (1)”は背面に搭載された974個のミニLED“グリフ・インターフェイス”で光り方を設定すれば、ディスプレイを下にしていてもメールや着信、充電状況などを簡単に識別できるのが便利です。それに、“グリフ・インターフェイス”は写真や動画を撮影する時にも使用できるので、光量を調節して自然な光を再現できるのも嬉しいですね。ディスプレイはノッチがないので気持ち良く映像を見ることができるし、6.55インチとサイズが大きいので車の運転時にはナビ画面として重宝しています。あとは、独自のフォントや機械的な操作音も新鮮ですし、Androidのスマートフォンなので仕事でよく使う「グーグル(GOOGLE)」のアプリが立ち上げた時点で入っていながら、デフォルトのアプリ数が必要最低限でスッキリしているのは好印象でした。
「デザインの完成度は純粋にすごいと」
ーー1人のユーザーとしてではなく、1人のディレクターとして気になった点はありますか?
三好:洋服の場合は、使用できる生地の素材が豊富でサイズも自由ですが、スマートフォンは実用性を第一に操作性や機能性、耐久性などを考慮しつつ、数少ない素材でデザイン性も高めなければいけない。その中で、“Phone (1)”はリサイクル素材を使用しているので制約がより多かっただろうし、それでこのデザインの完成度は純粋にすごいと感じましたね。
ーー“Phone (1)”は、どういう方におすすめですか?
三好:デザインを重視したい人、例えるなら“ブラックベリー(BlackBerry)”を使っていた人みたいな(笑)。昔はデザイン性と機能性を両立させるのが難しかったですが、“Phone (1)”はどちらも兼ね備えているので、他人と違うものがほしい人には良いと思います。スマートフォンをシンプルにデザインで選ぶ時代が来るのかもしれませんね。実は9月末にショップをオープンするんですが、ショップの電話に“Phone (1)”を採用しようと考えていて、企業が受付の電話や社用携帯として取り入れるのもアリではないでしょうか。
ーー今後、「ナッシング」で見てみたいプロダクトはありますか?
三好:レコードプレイヤーやカセットデッキなど、“全員が必要としていないけど、こだわりが持ててスケルトンで存在しないもの”ですかね。
What is “Nothing”?
そもそも「ナッシング」とは、スウェーデン出身の起業家カール・ペイ(Carl Pei)が、“iPodの父”として知られるトニー・ファデル(Tony Fadell)や、ライブストリーミングサービス「ツイッチ(Twitch)」の共同設立者であるケビン・リン(Kevin Lin)ら著名投資家の支援を受けて2020年10月に設立。社名は、“人間とデジタル製品の間の障壁がまるで何もない(nothing)ような状態を追求する”から名付け、デザイン性と使いやすさを重視した“型にハマらない”プロダクトを手掛ける注目のブランドだ。
“神は細部に宿る”、
デザイン性の高さから世界中で
注目を集める“Phone (1)”
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そして、今回三好氏にも使用してもらった“Phone (1)”は、「ナッシング」が21年7月に発表した第1弾プロダクトのワイヤレスイヤホン“ear (1)”に続く待望の第2弾プロダクト。スマートフォンが普及して早十数年、各社・各メーカーが毎年のように新型を発表するもデザインの画一化は否めない。そこに一石を投じるべく開発された“Phone (1)”は、発売前に全世界で20万台以上が先行予約され、世界最大のオンライン市場「ストックX(STOCKX)」で行われた100台限定(シリアルナンバー付き)のオークションでは最高で3000ドル(約40万5000円)の価格で落札されるなど、その細部まで作り込まれたデザインで早くから熱い眼差しが向けられていた。
ハードウェアは、「ナッシング」の名を世界に広めた“ear (1)”同様、背面がスケルトン仕様になっているだけでなく、974個のミニLEDから構成された“グリフ・インターフェイス(Glyph Interface)”も備えている。これは、研究チームが“ユーザーの生活までをも明るく照らす”ために開発したもので、メインカメラでの撮影時にライトとは別の照明として利用できるほか、通話やメールの通知、充電状況などを音と共に光でアナウンスしてくれる機能だ。また、“グリフ・インターフェイス”とあわせて透けて見える内部の近未来的な基板配置は、イタリア出身デザイナーのマッシモ・ヴィネッリ(Massimo Vignelli)がデザインしたニューヨークの地下鉄路線図に着想しており、これまでスマートフォンの背面デザインや通知の在り方とは全く異なるアプローチを見せている。さらに、フレームに100%再生アルミニウムを使用し、プラスチック部品の50%以上をバイオベースとリサイクル由来で制作するなど、環境にも配慮したプロダクトである点も魅力的なポイントだろう。
プラットフォームは、Android 12をベースとした「ナッシング」のオリジナルとなる“Nothing OS”を搭載。ドット風のフォントやメニュー構成など、“かゆいところに手が届く”ディテール部分のカスタマイズが加えられている。また、画面内指紋認証と顔認証の両方に対応しているほか、カメラは広角と超広角のデュアル構成でどちらも5000万画素のセンサーを内蔵し、ディスプレイはノッチを廃止しベゼルの太さを均一とすることでスマートな印象に。そのうえ、リバースチャージと呼ばれる機能により、“Phone (1)”本体で“ear (1)”をはじめとするワイヤレスイヤフォンの充電ケースを充電することができる優れものだ。
TEXT:RIKU OGAWA
ナッシング カスタマーサポート
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