ファーストリテイリングは3〜5月の好調を受け、2022年8月期の見通しを上方修正した。修正後の売上高にあたる売上収益は前期比5.5%増の2兆2500億円(修正前は2兆2000億円)、営業利益は同16.5%増の2900億円(同2700億円)、純利益は同47.2%増の2500億円(同1900億円)。営業利益、純利益共に過去最高となる見込み。
3〜5月は、中国ユニクロ事業がコロナによる行動制限で大幅な減収減益となったが、アジア・オセアニアと欧米のユニクロ事業は大幅な増収増益。国内ユニクロ事業も外出機会の増加に伴って、3カ月間の既存店売上高が前年同期比7.8%増と好調、値引き販売の抑制により粗利率も前年同期に対し3.9ポイント改善した。稼ぎ頭だった中国ユニクロも、「行動制限が緩んだ6月以降は着実に売り上げが伸びている。コロナから回復すれば、再び成長軌道に乗せられる」と、岡﨑健・取締役グループ上席執行役員CFOは話す。
原材料や物流費高騰を受け、今春夏から一部商品を値上げしている。「お客さまの価格に対する意識は非常にシビアだが、価値に見合った価格の商品を適時に投入すれば買っていただけるという手応えがある」。22-23年秋冬も、看板商品のフリースやダウンアウターで1000円前後の値上げを発表している。「コア商品を含む一部商品を値上げするが、大半の商品の価格は維持する。楽観視はしていないが、価格に対する価値を訴求し、お客さまがほしいものをほしいタイミングで投入すれば、値上げをしても売り上げは伸ばせる」。
コロナ禍からの急回復で、欧米では「人手不足が顕著になっている」。日本でも今後同様の傾向が広がると見て、パート、アルバイト販売員の「時給を大幅にアップしていく。(人への投資に注力し)商売の組み立て方を変えていく局面にある」。22年8月期中に、国内のユニクロ、ジーユーでパート、アルバイト販売員の時給を平均3%引き上げるのに続き、9月以降も地域によっては時給をさらに10〜30%引き上げる考え。同時に商品の店頭投入数量や投入タイミングなどの精査を進めることで、店舗オペレーションの効率化も進めている。