サステナビリティ

「ユナイテッドアローズ グリーンレーベル リラクシング」が注目のサステナブル素材“ナイア・レニュー”を日本で初採用

 イーストマンケミカルが手掛ける循環型ジアセテート繊維“ナイア・レニュー(Naia Renew)”は、木材パルプに廃棄物由来の再生プラスチックを組み合わせた注目のサステナブル素材だ。同社は「持続可能なテキスタイルをすべての人に利用可能にすること」をビジョンに掲げ、日本市場での販売数拡大を目指す。その最初のパートナー企業として「ユナイテッドアローズ グリーンレーベル リラクシング(UNITED ARROWS GREEN LABEL RELAXING、以下GLR)」が、2022-23年秋冬の主力商品に同素材を採用した。田中安由美ウィメンズ商品本部GLR部副部長兼クリエイション課課長ブランドディレクターは、“ナイア・レニュー”を「作り手が選びたくなるファッション性兼ね備えた信頼のおけるサステナブル素材だ」と評価する。

作り手が選びたくなる
ファッション性が魅力

 「GLR」は、かねてよりリサイクルポリエステルやオーガニックコットンなどサステナブル素材への切り替えを積極的に進めてきた。ユナイテッドアローズ全体では、31年3月期までに環境配慮商品の割合を50%まで引き上げることを目指しており、今後もサステナブル素材の選択肢が必須となる。

 田中ディレクターは「これまでサステナブルを優先すると、ファッション性とトレードオフになることが多かった。しかし、“ナイア・レニュー”は素材選びの段階で自然と手が伸びた生地だった。なおかつ原料は100%サステナブル。リサイクル原料を活用しながら、私たちが手の届く価格帯だったことも採用の決め手だった」と話す。

上品な落ち感と高級感のある
光沢感を生かした通勤服

 アイテムは、通勤時に活躍するセットアップやワンピースなど7型。「GLR」が大切にする「きちんと見えしながらも、着ていてストレスのない着心地」を追求しながら、上品な落ち感と高級感のある光沢感を生かしたシルエットに落とし込んだ。シーズンレスで着られるようジャケットは背抜きで仕立て、パンツは裏地を省いて素材の心地よさを肌で感じてもらう。“ナイア・レニュー”は、従来のアセテートが持つ高い染色性も妥協しない。「GLR」では、それを生かして「ベリーショコラカラー」と呼ぶフェミニンで優しい印象のピンクのほか、ネイビーとホワイトを企画した。また、リサイクルポリエステルと混紡することでイージケアも叶える仕様だ。

 「お客さまが素敵だと思った商品が、サステナブルな選択であることが一番だ。“ナイア・レニュー”はそれを叶えてくれる素敵な素材。生地バリエーションも豊富で、商品群の2軸である通勤服とカジュアル服のどちらにも対応できる。次のシーズンに向けても継続的に採用していく予定だ。」(田中ディレクター)

木材パルプとリサイクル
廃棄物由来の生分解性素材

 “ナイア・レニュー”は、木材パルプが主原料の“ナイア“の次世代版として2020年秋に販売を開始した。原料は60%が木材パルプ、40%がリサイクル廃棄物で構成する。木材パルプは、FSC認証やPEF認証を取得し持続可能な方法で調達されたことが立証されている。通常のアセテートは木材パルプに石油由来の原料を加えるが、イーストマンケミカルは独自の技術でこれをリサイクル廃棄物に置き換えた点が特徴だ。廃棄物はカーペットなど、埋め立てゴミにされるような再生難易度の高い素材を活用する。製造プロセスにおいても環境負荷を抑えることを徹底し、安全かつ環境に配慮した化学薬品を使用し、二酸化炭素排出量や水の使用量を削減したクローズドループを構築している。加えて、生分解性と堆肥化可能性も第三者機関の基準で認められている。

「持続可能な繊維の
重要性を業界に伝え、教育したい」

 イーストマンケミカルのルース・ファレル(Ruth Farrell)=ジェネラル・マネジャーは、「“ナイア・レニュー”の開発にあたり、持続可能なファッションを実現する上で測定可能な影響を与えることを目指した。当社は、品質や美しさを損なわない持続可能な糸を市場に提供するために、生産量の拡大とイノベーションへの投資に真剣に取り組んできた。日本のパートナーと協力して、より持続可能な繊維産業を共に構築することにワクワクしている」と話す。

 特に同素材はウィメンズウエアに適しており、世界的なブランドのニーズに応えるため、組織横断的な開発チームで「ビジョンを共有する」紡績業者や工場と協力して差別化できるトレンドを抑えた生地開発に注力してきた。「私たちの目的は、最初の重要なデザインの段階で、持続可能な繊維の重要性を繊維業界に継続的に伝え、教育し、サステナブルな繊維で作られた生地が妥協を意味しないことを示すことだ。ユナイテッドアローズは持続可能性に対する情熱を共有しており、今回のコレクションは、それを示してくれた。同社のような主力ブランドと協力できることを非常にうれしく思う」。

PHOTOS:SHUNGO TANAKA(MAETTICO)
問い合わせ先
イーストマンケミカル
03-5469-7624