児童養護施設を中心にヘアカットなどの無償提供を使命とした一般社団法人ビューダブルが7月14日に立ち上がった。理事には松浦美穂ツイギー代表、牛山大輔ハリウッド社長、蒲生典子ガモウ社長、渡邉弘幸ウカCEOが就任した。ヘアサロン「ツイギー(TWIGGY.)」と「ウカ(UKA)」で、アシスタントやデビューしたてのスタイリストが、対象の子どもや若者、各施設の職員らにカットやカラーなどを施術する。
前身であるアーリンプロジェクト(現、一般社団法人泉鳳)は、児童養護施設や里親家庭、自立支援ホーム、一時保護所、アフターケア相談所に関連する子どもたちや若者たち、および各施設の職員らを対象にヘアカットやカラーを無料で提供する団体。発起人の佐東亜耶代表の思いに賛同した「ツイギー」と「ウカ」の2サロンが技術提供サロンとして参加し、2021年から両サロンでテストケースを開始し、今回の取り組みにつながった。
現在全国には児童養護施設の子ども約3万人を含む、約4万5000人の“社会的養護”(虐待や経済的理由などで保護者のもとで暮らせなくなった子どもたちを社会全体で支援する仕組み。また、その子どもの家族も支援する)の子どもや若者がいる。児童養護施設の子どもの多くは生活費の中から捻出した1500円程度のわずかな費用の中で、ヘアカットを行う。そのため興味はあっても憧れの美容室に行くことができない現実がある。また施設を退所した若者たちも一人で生活する費用を工面することが精一杯で美容にお金をかけることが難しい状況にある。施設に勤務する職員も同様で、子どもたちのケアで日々忙しく、泊まりでの夜勤もあるため、自身のヘアやおしゃれにまで手が回らないのが現状だ。
ビューダブルは、児童養護施設や里親家庭、自立援助ホーム、一時保護所、アフターケア相談所に関わる子どもや若者、里親家庭の保護者ら、そして各施設で働く職員を対象とし、通常のカットモデルとしての枠を広げ、ヘアメニューを無料提供する。
メニューはカットやカラーを中心に、サロンによってはパーマやカットカラーなど組み合わせたメニューを受けることが可能だ。通常のカットモデルでは、材料費の実費がかかることが多いが、ビューダブルでは“ビューモデル”と名づけ、全てのメニューを無料で行う。
施術を担当するのは、スタイリストデビューを控えるアシスタントやデビューしたてのスタイリストが中心で、ビューモデルは担当サロンおよびスタッフを自ら選択することが可能だ。
サロンにとっては、本プロジェクトに参加することでモデルの施術機会が増えるほか、接客技術の向上、社会的意識の向上につなげることができる。アシスタント時代から自分の技術を通して、笑顔になってもらうという経験を積むこともできる。対象となる社会的養護者が支援されるだけでなく、参加する側のサロンにとっても大きな学びになる取り組みだ。