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ヘアカラーが差別化の武器になる

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 ビューティ・インサイトは、「WWDJAPAN」のニュースを起点に識者が業界の展望を語る。今週はあらゆる世代でトレンドの軸となりつつあるヘアカラーの話。(この記事はWWDジャパン2022年7月25日号からの抜粋です)

【賢者が選んだ注目ニュース】
絵の具感覚で狙った色みを表現 新ヘアカラーブランド「エノグ」
「#白髪ぼかし」がバズり 客単価5000円アップ

 若年層と大人女性の双方にとってヘアカラーがトレンドの軸となっていることに注目している。昨今は、ショートやボブといった“髪型でトレンドを創る”というよりも、インナーカラーやハイトーンカラーといった“カラーでトレンドを創る”という傾向が顕著だ。特にインナーカラーは10代後半から40代まで、年齢を問わず幅広い世代に受け入れられつつあるトレンドで、これまでにはあまり見られなかった。

 ホットペッパービューティーアカデミーが毎年実施している「美容センサス2022年上期〈美容室・理容室編〉」を見てみると、サロンでのカラー利用率は2016年以降右肩上がりに伸びており、22年はカラー利用率が53.7%にまで上る。これと同じ動きをしているのが、1回当たりの利用金額だ。カラー利用率と同様に16年から右肩上がりに伸長し、コロナ禍でも落ち込むことなく22年には7345円と過去最高金額となった。ヘアカラー利用率が上がったことが、ヘアサロンの売り上げアップに大きく貢献していると考えられる。

各年代で高付加価値カラーの需要が高まり単価もアップ

 ヘアカラー利用率が上昇している背景としては、若年層のハイトーンカラーブームと、大人女性におけるファッションカラーの一般化があると見ている。まずは若年層の動向に注目したい。前述の調査でヘアカラーの施術内容を聞いたところ、10代後半(15〜19歳)のカラー利用者のうち、4割がブリーチを利用していることが分かった。十数年前だとダメージや髪がかなり明るくなることからブリーチはあまり受け入れられなかったが、最近は一部の美容意識の高い層だけでなく、一般的なおしゃれとして気軽に取り入れられている。これは薬剤の進化に加えて、消費者の価値意識の変化が要因として考えられる。「美容センサス2021年下期〈美容意識・購買行動編〉」で「Z世代が美容に対してお金や時間をかけたい理由」を聞いたところ、コロナ前後で意識が大きく変化していることが明らかになった。異性や周りの目線を気にかけるよりも、「自分のためにきれいになりたい」「自分に自信を持ちたい」といった自分のやりたいことを美容で実現するというモチベーションが高まっているのだ。こういったことからハイトーンカラーは人気を集めている。またサロン利用金額を21年と22年で比較すると、ほかの年代に比べてブリーチ比率の高い10代後半と20代が最も増加している。サロンでしかできない高付加価値カラーの流行が、1回当たりの単価アップに貢献していると言えるだろう。

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