毎週発行している「WWDJAPAN」は、ファッション&ビューティの潮流やムーブメントの分析、ニュースの深堀りなどを通じて、業界の面白さ・奥深さを提供しています。巻頭特集では特に注目のキーワードやカテゴリー、市場をテーマに、業界活性化を図るべく熱いメッセージを発信。ここでは、そんな特集を担当記者がざっくばらんに振り返ります。(この記事は「WWDJAPAN」2022年7月25日号からの抜粋です)
木村:「海を守ろう」というテーマを向さんから聞いて、正直、私は自分ごと化するのに時間がかかりました(苦笑)。今まで気候変動や温室効果ガス削減といったトピックを追ってきましたが、海についてまで意識が及んでいませんでした。でも、取材するうちに、海に流れているごみの8割が陸から出ているだとか、温室効果ガスの大半を吸収してくれていたのが海だったとか、いろんな行動がつながっているということが見えてきて。どうしてこのテーマを選んだのですか?
向:展示会で「ニュートラルワークス.(NEUTRALWORKS.)」の漁網をリサイクルして作ったフィッシャーマンズセーターに出合い、「なんてシャレが利いているんだろう」って心が動いたのが、きっかけでした。もう1つは、大陸は川で全部がつながっていて、川上の国から廃棄物が流れてくると、川下の国の被害にもつながるという事実に出合ったこと。島国の日本にいると、そういう発想を持ちにくいけれど、全てがつながっていることを伝えたいと思いました。6月8日が世界海洋デーだったし、日本も7月18日に海の日が来るというので、いいタイミングだな~と。
木村:そうだったんですね。
向:取材で何が一番印象に残りました?
木村:海洋問題に取り組むZ世代中心のNPO団体ウミナリの代表は、海洋問題を知ってから改めて地元の海を見ると、たくさんのごみが落ちていて驚いたそうです。彼の「知らないと見えないものがある」という言葉にハッとさせられました。向さんは何か発見がありましたか?
向:私は「ゲームチェンジ」という言葉が好きになりました。なんか表面的な感じがして、これまで意識的に使わずにきたのですが、まさにサステナに関わる皆さんがやっている「ごみではない資源なんだ」という考え方は、「ゲームチェンジ」だと思って。でもゲームってルールがあって、例えばごみは行政のルールの中で扱われています。資源として扱おうとした瞬間にルール破りになるようなこともあって、新しいルールを作ることもしていかないといけないことも実感。業界として行政と手を組んで「新しいルールを作ろう!」と行動していくことが大事です。
木村:私たちも大きく視野を持って行動したいですね!