ファッション

島国ニッポンで広がる漁網リサイクルの可能性 服や鞄へ【海の危機、私たちはどう動く?】

有料会員限定記事

 島国、ニッポン。全国に2800近い漁港があり、漁網は年間約2万トン生産され、数年後には産業廃棄物として埋め立て、焼却処理をされている。漁網の素材の約3割がナイロンであり、これをごみではなく資源としてマテリアルリサイクルしようという動きが出てきている。海や魚は多くの人にとって身近な存在なだけに、漁網リサイクルは資源活用に加えて町おこしや教育といった社会活動へつながっている。

 日本における廃棄漁網のマテリアルリサイクル使用のカギを握る企業がリファインバースだ。2003年創業の同社は再生樹脂製造販売を生業とし、業務用カーペットや自動車エアバッグといった従来コストをかけて処理してきた廃棄物を収集・中間処理し、独自のテクノロジーを用いてリサイクル素材として活用するビジネスを展開している。

 漁網のリサイクルについては19年に本格的にスタート。北海道厚岸町で廃漁網の回収・分別などを行い、愛知・一宮でペレット化。当初はプラスチックパーツとして販売していたが、同タイミングでアパレルからのニーズが高まったことで、現在は年間約20トンの廃棄漁網を扱い、協力工場で紡糸を行い「リアミド(REAMIDE)」のブランド名で販売している。

 「サステナビリティやサーキュラーエコノミーは、理論やプランだけでは実現できない。廃棄物を運ぶ車両や処理設備、資源化・素材化の技術やノウハウ、循環を支えるネットワークが重要だ」と同社。漁網については同じナイロン素材で実績のあるカーペットのリサイクル技術を応用できるというが、漁網独特の課題が搬送と洗浄だ。塩気を含み、砂や有機物が付着する魚網を回収・運搬、洗浄する工程が技術的にもコスト的にも負担が大きい。今月には北海道・苫小牧にリサイクルの新工場を竣工した鈴木商会と業務提携し、量産化に向けてステップを進めた。

この続きを読むには…
残り1052⽂字, 画像2枚
この記事は、有料会員限定記事です。
紙版を定期購読中の方も閲覧することができます。
定期購読についてはこちらからご確認ください。

関連タグの最新記事

最新号紹介

WWDJAPAN Weekly

2025年春夏ウィメンズリアルトレンド特集 もっと軽やかに、華やかに【WWDJAPAN BEAUTY付録:2024年下半期ベストコスメ発表】

百貨店、ファッションビルブランド、セレクトショップの2025年春夏の打ち出しが出そろった。ここ数年はベーシック回帰の流れが強かった国内リアルクローズ市場は、海外ランウエイを席巻した「ボーホー×ロマンチック」なムードに呼応し、今季は一気に華やかさを取り戻しそうな気配です。ただ、例年ますます厳しさを増す夏の暑さの中で、商品企画やMDの見直しも急務となっています。

詳細/購入はこちら

CONNECT WITH US モーニングダイジェスト
最新の業界ニュースを毎朝解説

前日のダイジェスト、読むべき業界ニュースを記者が選定し、解説を添えて毎朝お届けします(月曜〜金曜の平日配信、祝日・年末年始を除く)。 記事のアクセスランキングや週刊誌「WWDJAPAN Weekly」最新号も確認できます。

ご登録いただくと弊社のプライバシーポリシーに同意したことになります。 This site is protected by reCAPTCHA and the Google Privacy Policy and Terms of Service apply.

メルマガ会員の登録が完了しました。