資生堂は8月1日、久喜工場とベトナム工場で行う日用品の生産事業をファイントゥデイ資生堂(以下、FTS)の親会社であるAsianPersonalCareHolding(以下、APCH)に譲渡した。譲渡額は非公表。FTSの生産と販売を統合した製販一体の経営体制を構築し、同社の持続的成長を支援すると共に、久喜とベトナム両工場をより高い競争力を持つ工場に進化、発展させる。
同社はパーソナルケア(日用品)事業を2021年7月に売却し、FTSが引き継いでいる。久喜工場は1983年に化粧品工場とは異なる大量生産型の工場として稼働を開始し、日用品の主力工場という位置づけで、高い品質の製品を生産・供給し、経営に貢献する。また、ShiseidoVietnamInc.(以下、SVI))が運営するベトナム工場は09年に稼働を開始し、日本およびアジア市場に向けた生産拠点として主に「ウーノ(UNO)」などの日用品事業の製品を生産する。21年12月期の売上高は66億5800万円。現在、FTSは安定した経営を実現し、持続的な成長を確実なものにするためFTS独自の生産インフラの確保ならびに生産と販売の一体化が最善であると対象事業とSVIを譲渡する。
今後、FTSは研究開発・生産・マーケティング・販売などの機能が一体となる体制整備を加速し、新しい価値の製品開発や生産技術の導入、人財育成や交流などへの迅速な取り組みが可能となる。なお、対象事業およびSVIに従事する資生堂の従業員は基本的に新会社およびAPCHの子会社となるSVIの従業員となり、生産事業に従事する。
日用品の生産事業は、吸収分割の方法により、23年第1四半期に新会社に継承し、その後同社の全株式をAPCHに譲渡する。SVIは23年下半期に全持ち分をAPCHに譲渡する予定だ。資生堂は、日用品事業の成長に向けた独立支援のためAPCH株式を35%保有するが、新体制下で事業運営が順調に実現しているため新会社株式譲渡と同日付で、その一部をAPCHの親会社であるOrientalBeautyHoldingに譲渡し、株式保有割合を20.7%に引き下げる。
資生堂は、既存の掛川工場、大阪工場に加え、19年に那須工場、20年に大阪茨木工場、5月に福岡久留米工場を稼働した。中長期経営戦略「WIN2023andBeyond」のもと、スキンビューティー領域のプレステージ・プレミアム化粧品事業の生産を担う国内工場体制を構築。“メイドバイジャパン”の製品をグローバルに安定的に提供し、「世界で勝てる日本発のグローバルビューティーカンパニー」を目指す。