ファッション

輸入商社の三崎商事が破たん 小売り機能の有無が海外ブランドの信頼につながる時代

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 ニットの「マロ(MALO)」や「チヴィディーニ(CIVIDINI)」、ジャケットの「ボリオリ(BOGLIOLI)」、バッグの「ゲラルディーニ(GHERARDINI)」など、イタリアンブランドを中心とする輸入商社の三崎商事(大阪、三崎勝弘社長)が1日、大阪地裁に民事再生法の適用を申請した。東京商工リサーチによると、負債総額は46億円だった。

 1963年創立の三崎商事は「ゲラルディーニ」を皮切りに、80年代には「ビブロス(BYBLOS)」、90年代には「ドルチェ&ガッバーナ(DOLCE&GABBANA)」と「D&G」、その後は「ディースクエアード(DSQUARED)」などを日本に持ち込んで普及させた輸入商社の代表的存在。だが同社を含む輸入商社が、見出し、持ち込み、育んできたブランドは、日本でのビジネスが軌道に乗るとジャパン社を設立することが多く、昔から輸入商社は、育てるほどに「関係性消滅」というリスクが増大するというジレンマを抱えている。このため同じ輸入商社のアオイは「クリスチャン ルブタン(CHRISTIAN LOUBOUTIN)」や「ヘルノ(HERNO)」、八木通商は「モンクレール(MONCLER)」など、見出し、持ち込み、育んだのちに生まれたジャパン社の株式を最大半分保有してビジネスに参画し続けている。一方三崎商事は、ブランドを完全に手放さざるを得なかったケースが多く、近年は手放したブランドの代替ブランドや、他の輸入商社がビジネスを軌道に乗せられず関係性を解消したブランドなどの輸入販売権を取得して注力したが、「ドルチェ&ガッバーナ」や「ディースクエアード」のような規模感に育てるのは難しかった。インポーター業界への逆風が顕著なものとなってきた2015年、当時社長だった三崎龍哉氏が54歳の若さで急逝したことも悔やまれる。

 輸入商社を取り巻く、マクロな環境は厳しさを増していた。近年は輸入商社の主要クライアントだった、「専門店」と呼ばれる地方のセレクトショップが淘汰され、全国展開するセレクトショップでもプライベートブランドが増えてインポートの割合は減少していた。また、「ファーフェッチ(FARFETCH)」や「エッセンス(SSENSE)」「マッチズ・ファッション(MATCHES FASHION)」「ネッタポルテ(NET-A-PORTER)」など、海外から直接ブランド品を購入できる環境が整い、輸入商社の役割は変化を迫られている。

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