大手セレクトから気鋭のD2Cブランドまで幅広く取り扱う国内最大級のファッションEC「ゾゾタウン(ZOZOTOWN)」ではどんなショップやアイテムが支持されているのか。最大顧客層であるデジタルネイティブなZ世代の購買動向から、今のトレンドが浮かび上がる。本間聡ブランド営業本部 生産企画部ディレクターと東奈里香ブランド営業本部 ブランド営業二部ディレクターに、2022年春夏の商況を聞いた。
WWD:2022年上半期の商戦を振り返ると?
本間: 1月から2月末までのセール期間は、緊急事態宣言下だった前年と比べて2ケタ以上成長。コロナ禍によるECシフトの流れが加速した前年の数字をクリアできた功績は大きい。まん延防止等重点措置が解除された3月以降は、外出需要の高まりからドレスやクラッチバッグといったオケージョンアイテム、水着がよく動いた。中でも水着は顕著に伸び、売り上げが倍増した。5月はGWに打ち出したかった夏物が中国・上海のロックダウンによる商品の入荷遅延遅れにより届かず対応に追われたが、それでも既存顧客の購買に支えられ前年をクリアした。4〜6月も累計で2ケタ増だった。
WWD:好調ショップは?
本間:「今欲しい」という実需に寄り添った品ぞろえの「フリークスストア(FREAK'S STORE)」が継続して人気。ストリートカジュアルの幅広い商品ラインアップと手に取りやすい価格帯が、購買中心顧客層のニーズと合致している。カットソーに強いストリート系も好調で、「エクストララージ(XLARGE)」「ハフ(HUF)」のほか、「ビームス(BEAMS)」やムラサキスポーツで別注品がよく売れた。ウィメンズも同様に、「チャコクローゼット(CHACO CLOSET)」「アンブルネージュ(AMBRE NEIGE)」といった低価格でトレンドを網羅したブランドが好調。春に急上昇した三愛水着楽園は、キャミソールやタンクトップとショートパンツのセットが売れたほか、水着だけでなく下着もヒット。「ユナイテッドアローズ(UNITED ARROWS)」や「トゥモローランド(TOMORROW LAND)」も安定した売り上げを継続している。
WWD:好調アイテムは?
本間:メンズは昨年から引き続きオーバーサイズのシャツやトラックパンツ、ハーフジップスエット。今季新たに売れ筋に上がってきたのは、華奢なチェーンネックレス。ジェンダーレスの傾向は今後も注目したい。ウィメンズはマーメイドスカートや、ルーズシルエットのストライプシャツ。グリーンやピンク、ブルーといった春らしいカラーが動いた。気温が上がってきた3〜4月以降は、キャミソールワンピースが伸長。スリット入りやマーメイドシルエットなど、トレンドをうまく組み合わせたデザインに支持が集まった。
WWD:大ヒットした商品やブランドはある?
東:ファッションユーチューバーのげんじがディレクターを務める「ウィム バイ リドム(WYM LIDNM)」は、自身のSNSで丁寧に商品の魅力を発信したデニムがよく売れた。ウィメンズでは「アメリ ヴィンテージ(AMERI VINTAGE)」。スタッフがインスタライブで身長別の着こなしなどを細かくフォローしているのが奏功。作り手が発信力を強めているブランドは好調な結果を残している。ユアブランドプロジェクト「イナフ(ENOF)」もロングスカートが大ヒットした。
WWD:効果のあった施策は?
東:昨年の秋冬に、新作先行予約会をスタートした。過剰在庫を防ぐサステナビリティの観点や、ヒット商品の“アテ”を探りたいブランド側のニーズにも合致。特設ページを設けて、「活用したい」という声があったブランドの商品はすべて反映した。最新の予約商品を顧客が早く見られる場を提供している。商品の露出機会が増え、売り上げにつながった。
本間:このほか反響が大きかったのは次世代グローバルグループ「NCT 127」やプラモデル「創彩少女庭園」といった、ファッションとは異なる業界とのコラボレーション。限定アイテムがSNS界隈で話題を集めただけでなく、ファンから高評価を得て手応えがあった。
WWD:今後の目指すべき姿は?
本間:常に念頭に置くのは新規顧客の拡大。今回効果のあった「NCT 127」など異業種とのコラボレーションは有効だ。リアル店舗を支援するプラットフォーム「ゾゾモ(ZOZOMO)」の利用企業や商品ページの来場者数も増えている。出店していないブランドには積極的に声をかけ続け、取り組みのある企業とは新作先行予約会などを通してもっと会話を増やし、ニーズを汲んでいく。値上げも逃れられないシビアな状況になってきているので、対応についていっそう密に連携を取りたい。
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