ケリング(KERING)の2022年1~6月期決算は、売上高が前年同期比23.4%増の99億3000万ユーロ(約1兆3405億円)、EBITDA(利払い前・税引き前・減価償却前利益)は同22.5%増の36億1700万ユーロ(約4882億円)、純利益が同34.4%増の19億8800万ユーロ(約2683億円)だった。
地域別の売上高では、西欧は同53.3%増の26億600万ユーロ(約3518億円)、北米は同36.6%増の27億500万ユーロ(約3651億円)、日本を除くアジア太平洋地域は同1.1%減の33億3900万ユーロ(約4507億円)、日本は同25.7%増の5億7700万ユーロ(約778億円)、その他の地域は同32.1%増の7億300万ユーロ(約949億円)だった。
ブランド別の売上高では、主力の「グッチ(GUCCI)」が同15.4%増の51億7300万ユーロ(約6983億円)だった。同ブランドは中国市場への依存度が比較的高いことから、上海などでロックダウンが続いた上半期は売り上げが減速した。「サンローラン(SAINT LAURENT)」は同41.5%増の14億8100万ユーロ(約1999億円)、「ボッテガ・ヴェネタ(BOTTEGA VENETA)」は同17.8%増の8億3400万ユーロ(約1125億円)だった。「バレンシアガ(BALENCIAGA)」や「アレキサンダー・マックイーン(ALEXANDER MCQUEEN)」などを含むその他のメゾン部門は、同31.6%増の19億5500万ユーロ(約2639億円)だった。
フランソワ・アンリ・ピノー(Francois Henri Pinault)会長兼最高経営責任者(CEO)は、「非常に好調だった21年度に引き続き、22年上半期もしっかりと売り上げを伸ばし、素晴らしい業績を上げることができた。世界中で売り上げが良く、コロナ禍に関する規制措置の影響があった中国市場の分を相殺して余りある結果となった。マクロ経済の不透明感が続いているが、当社は盤石な状態にある。短期的なチャレンジを乗り越え、新たな機会への挑戦をし、今後も傘下ブランドの大きな可能性や野心的な戦略を支援していく」と語った。
また、ジャン・フランソワ・パル(Jean-Francois Palus)=マネジング・ディレクターは、アナリスト向けの説明会で、「ファッションブランドがビューティ領域に進出するのは自然なことだ。現在、当社が擁する複数のブランドがライセンス契約に基づいてビューティを展開しているが、ケリング アイウエア(KERING EYEWEAR)の成功を踏まえると、革新的なアプローチをすることで、ブランドにとってもケリングにとってもさらに大きな価値を作り出せるかもしれない。あらゆる選択肢をオープンに考えたい」と述べ、ビューティ事業を内製化する可能性があることを示唆した。ケリング アイウエアはアイウエア事業の内製化のため14年に設立したが、17年にはコンパニー フィナンシエール リシュモン(COMPAGNIE FINANCIERE RICHEMONT)傘下の「カルティエ(CARTIER)」と戦略的提携を発表するなど、大きな成功を収めている。
ケリングの傘下では、「グッチ」「アレキサンダー・マックイーン」「ボッテガ・ヴェネタ」はコティ(COTY)と、「サンローラン」はロレアル(L'OREAL)と、「ブシュロン(BOUCHERON)」はインターパルファム(INTERPARFUMS)とビューティのライセンス契約を締結している。なお、ピノー会長兼CEOは20年2月、コティに関して「ビューティ事業には巨大なポテンシャルがあるにもかかわらず、スピード感を持ってそれが開発されていないことにフラストレーションを感じている」と発言している。