毎週発行している「WWDJAPAN」は、ファッション&ビューティの潮流やムーブメントの分析、ニュースの深堀りなどを通じて、業界の面白さ・奥深さを提供しています。巻頭特集では特に注目のキーワードやカテゴリー、市場をテーマに、業界活性化を図るべく熱いメッセージを発信。ここでは、そんな特集を担当記者がざっくばらんに振り返ります。(この記事は「WWDJAPAN」2022年8月8・15日合併号からの抜粋です)
大塚:前回のメンズ特集で大きなトレンドとしてのデニムと、主要ブランドを紹介したので、今回はスタイルや素材、色など、細かくかみ砕いて提案しました。その提案に対して国内外のバイヤーに10点満点で期待度をつけてもらいました。
井上:大塚さんの注目トレンドはどれだったんですか?
大塚:大きい流れとしては“モダンヒッピー”ですが、個人的にはずっとストリートが強かったアメリカに、いよいよテーラリングの波が来ていることに注目しています。欧州ではテーラリングって日常に取り入れられている印象がありますが、アメリカにはそういう文化がなく、カチッとしたテーラリングではなかなか受け入れられない。でもストリート感のあるテーラリングって日本人デザイナーが得意で、そこに対する需要がありそうな話を複数から聞きました。
井上:確かに「ルード(RHUDE)」や「アミリ(AMIRI)」など、米国発の彼らもテーラリングを出していて、それが結構ナチュラルな雰囲気でした。それが市場に広がっていくのかなと思いました。
大塚:エリさんのイチ押しは?
井上:私はやっぱりヒッピースタイルをアーバンに見せる“モダンヒッピー”です。
大塚:僕はエリさんが挙げてくれた“普通をアップデートする感覚”というのも、すごくいいなと思いました。今回“ストレンジノーマル”と名付けたんですが、今まで普通に着ていたクラシックなアイテムをバランスを変えたり、ディテールをひねったりするような流れです。
井上:「ロエベ(LOEWE)」や「プラダ(PRADA)」に代表されるような、「今の時代における“普通”とは?」「ユーティリティーとは?」と考えさせるデザインですよね。大きな変化ではないけれど、考え方としてはこの先を読む上で、大事なのかなと思いました。これに対し海外のバイヤーさんの評価が二分していて面白かったです。
大塚:そうですね。あと、ウィメンズで大流行しているクロップド丈のトップスが、今回、メンズでもめちゃくちゃ多かったですよね。毎回ショート丈はボトムスでもバイヤーさんからのリアクションが厳しいのですが、今回はトップスです。ヘルシーな肌見せの流れがメンズにも来るのかも注目ですね。