ワークマンは、プライベートブランド(PB)の2023年春夏商品の価格見直しを検討する。急速な円安をはじめ、原材料費の高騰、海上輸送費の高止まりなど、現状の価格設定が難しくなったことを受けて対策を講じる。具体的な値上げ幅や対象商品は未定だが、低価格の維持を掲げてきたワークマンも曲がり角を迎えている。
9日に行われた同社の2022年4〜6月期決算説明会(オンライン)で小濱英之社長が明らかにした。
食品メーカーや一部アパレルによる値上げが次々発表される中、ワークマンは2月に「価格据え置き宣言」を行い、売上高の約6割を占めるPB商品については当面値上げを行わないとアナウンスしていた。「ワークマンプラス」や「#ワークマン女子」といった新業態のブームによって獲得した新規顧客が離れるのを防ぐため、コスト高の分を飲み込む「やせがまん」(土屋哲雄専務)を決めた。そのため23年3月期は引き続き増収を見込むものの、営業利益は久々の減益の予想を立てていた。
ただ、その際も極端な円安や原材料費の高騰が進行した場合は、値上げに踏み切らざるをえないとの見通しを述べていた。
今回、2月に比べて円安が加速したことを受け、方針を見直す。商品調達がほぼ終わっている22-23年秋冬物は価格を維持するが、23年春夏物は価格の見直しを検討する。定番の継続品が多い同社では一部商品の改廃も行う。アイテムの集約に加えて、アパレルやキャンプ用品などで共通素材を増やすなどしてコスト削減にも務める。
小濱社長は「柱となる商品は極力価格を維持する。一方で、機能性を高めた上で価格を変更するなど、お客さまの支持が得られる方法を探りたい」と話す。その上で「来期(24年3月期)は増収増益をしっかり確保する」考えだ。