ウクライナの大統領夫人オレナ・ゼレンスカ(Olena Zelenska)が、国を代表して公の場に立つ機会が増えるにつれ、彼女のスタイルにも注目が集まっている。米「ヴォーグ(VOGUE)」の10月号は、ウクライナの大統領府の階段に座る彼女を撮影してデジタル版の表紙にした。フォトグラファーのアニー・リーボヴィッツ(Annie Leibovitz)が担当した表紙については、SNSで賛否の声が上がっている。
騒動を受け、ゼレンスカのスタイリストを務めるナタリア・カメンスカ(Natalia Kamenska)は、「この撮影には関与しておらず、一切のコメントは差し控える」とした。ただカメンスカは、ゼレンスカのウクライナに対する献身的な姿勢について言及。「ロシア軍による侵攻を受ける前から、彼女は精力的にウクライナのコミュニティー育成を支持してきた」と語っている。
カメンスカは、「ゼレンスカは、本当に思いやりがある人。彼女の行動には、すべて心が込もっているんです。彼女は、チームを大切にしています。良い社会は、良いチームから生まれる。そう考えているんです」と語る。そして「この戦争で、大統領夫妻の素顔が明らかになりました。ふたりとも本当によくやっています。ウクライナのために残り、ウクライナのために戦っている。実に誠実な国民です」と続けた。
元脚本家で現在44歳のゼレンスカの素顔は、これまであまり知られてこなかった。彼女は2003年にウォロディミル・ゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領と結婚し、2人の子どもをもうけた。そして19年4月、ウクライナの大統領夫人となった。「当初、ファーストレディを務めるのは本当に大変だったそうです。でも今は、非常にたくましい本物のファーストレディ。ゼレンスカは、自分の言葉でウクライナを語ります。アメリカ議会でウクライナの惨状を訴える彼女の言葉も、しっかり届きました」とカメンスカは言う。
ウクライナのファーストレディが、アメリカ議会で演説をするーー。ゼレンスカは、その歴史的意義と同時に、戦時下における政治家とそのファッションを結びつけて、何かと文句をつける人間が存在することも知っていた。だからこそゼレンスカは、アメリカ大統領のジョー・バイデン(Joe Biden)との撮影など、重要な場面ではウクライナのブランドを身に纏った。 カメンスカは、「戦争について訴えるためなら、どんなものでも活用すべき。もっとも戦争になる前から、ゼレンスカは、ウクライナのデザイナーにとってアンバサダーのような存在でした。彼女は、独自のやり方でウクライナのブランドを広めようしていました。ウクライナのデザイナーがどれほど優れているのか、常々語っていましたよ」と言う。カメンスカはゼレンスカのスタイルについて、「洗練されている」と形容する。「ゼレンスカは、好みがはっきりしているんです」と続けた。ウクライナブランドの多くはゼレンスカの好みに合っており、彼女はそんなウクライナブランドの洋服に時々、「ザラ(ZARA)」などを組み合わせているという。彼女の限られたワードローブには、「グッチ(GUCCI)」など、ハイブランドの服はないのだという。