スニーカーにまつわる噂話のあれやこれやをアトモスの本明秀文CEOに聞く連載。フットロッカーがアトモスを買収すると発表したのがちょうど1年前。それ以降も、大手アパレルやファンドによる世界の有力スニーカーショップを狙ったM&Aが盛んに行われている。事業拡大のチャンスでもあるけど、一方でDNAを失う危険も。ブランドやメーカーから事業再生を依頼されることも多いという本明さん。今回の依頼主は、なんとあのスニーカーショップだった。(この記事はWWDジャパン2022年8月8・15日合併号からの抜粋です)
本明秀文CEO(以下、本明):中国の知り合いから突然、「スニーカーショップを運営してくれない?」という連絡が来た。「世界的なスニーカーショップだ」と言うからよくよく話を聞くと、あの「アンディフィーテッド(UNDEFEATED)」だった。中国の大手アパレルメーカー、ヤンガーがアメリカのアンディフィーテッドとジョイントベンチャーを立ち上げて、中国国内のライセンス商品の販売権利を持つらしい。中国市場を強化していくんだと思う。僕はフットロッカーで働いているから競合を助けることはできないよ、と断ったんだけど。
――それはビックリですね。日本はTSIが扱っていますが、どうなるんでしょう?
本明:日本も16店舗(HPによる)あるショップをどんどん減らしていくんじゃないかな?アンディフィーテッドのショップスタッフがお客さんに「もうすぐ店をたたむ」という話をしているみたい。あそこは購入額によるポイント制でハイプスニーカーが買いやすくなる仕組みだから、お客さんに「もうポイントを貯めても意味ないです」と。一度、振り出しに戻して新しいパートナーを探すか、ジャパン社を立ち上げる可能性もあるよね。やっぱり、大手だと小回りが利かないんだと思う。アトモスも同じで、僕たちの良さはスピード感なのに、いちいち判断をフットロッカーに仰がなきゃいけない。だからほとんど無視しているけど。ハイプなスニーカーショップがどんどん大手の資本に吸収されている。うちはまだ、僕が情熱をかけているけど、いくら資本があっても、人の魂がなくなっちゃったらダメになる。お客さんの顔が見えないと商売は難しいよ。
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