ファッション

サザビーリーグ子会社による「メゾン スペシャル」 SPAビジネスとD2Cブランドのいいとこ取りで急成長

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 コロナ禍による売り上げ減やサステナビリティ重視の流れを受けて、シーズンをまたいで売れる定番品を増やしたり、型数を減らしたりするブランドが増えている。それも間違いではないが、真逆の戦略で波に乗るブランドがある。ユーチューバーの買い物動画などにもよく登場する「メゾン スペシャル(MAISON SPECIAL)」だ。手掛けているのはサザビーリーグ子会社のメゾン スペシャル。立ち上げ3年目の2022年3月期の売上高は23億円で、黒字化も達成。中小規模のD2Cブランドが興隆する中、アパレル企業による既存のSPAビジネスとD2Cブランドのいいとこ取り手法で、成果を生んでいる。(この記事は「WWDJAPAN」8月1日号掲載記事に一部加筆しています)

 「メゾン スペシャル」の22-23年秋冬展示会を訪れると、ピンクやレモンイエローといった鮮やかな色が目に飛び込んできた。総ラメのパンツにトゲのような突起がたくさん飛び出たニットトップスなどもある。こんなに“攻めた”アイテムを国内アパレル企業の展示会で見るのは久しぶり。ファッション好きが集うブランドやセレクトショップも、コロナ以降、いやコロナ以前からのアパレル不況でコンサバに流れており、その中で「メゾン スペシャル」は異色の存在感を放っている。

 同ブランドがスタートしたのは19年3月。当初は通勤などに対応したややコンサバな商品もそろえてニーズを探っていたが、「コロナで通勤シーンがなくなり、よりファッション性の強い方向に振り切ったことで、クリエイティブ職や美容師などの層から支持されるようになった」と、メゾン スペシャルの菅井隆行社長と渡邊倫子商品企画部クリエイティブディレクター、チーフデザイナーは話す。展示会ではその物量にも圧倒された。年間の企画型数はウィメンズのウエアで400型強、そこに雑貨、メンズも加わる。「古着が人気となっていることからも分かるように、今は多種多様が求められる時代」と説く。

 奇抜なものはあくまで見せ筋で、売るのはベーシックというわけではない。例えば、冒頭で紹介したトゲのニットは先行受注で人気商品となっている。トレンド提案型のために、毎シーズン末に多量の売れ残りを出しているわけでももちろんない。「立ち上げ以来廃棄はない。先行受注会を活用して需給予測をしっかり立てている」という。

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