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“とぅる髪”で話題のヘアケアブランド「フィーノ」が取り組むヘアドネーションプログラム

 ファイントゥデイ資生堂が展開するヘアケアブランド「フィーノ(FINO)」はこのほど、医療用ウィッグ(抗がん剤や放射線による治療、脱毛症や無毛症、やけどなど、さまざまな原因で脱毛した人が使用することを想定して作られたウィッグのこと)に関わる360度全ての人がつながる新しい社会貢献の形を提案するプログラム「HAIR TOUCH YOU のばせば届く。」を始動した。

 これにあたり、医療用ウィッグを提供するための仕組み作りを担う「フィーノ ウィッグ バンク」を設立。医療用ウィッグ制作のサポートとなるヘアドネーションをより身近に感じてもらうために、オリジナルドネーションキットの無料配布や、興味関心をもつ人や医療用ウィッグに携わる人の思いを伝えるインタビュー企画、ヘアドネーション対応美容室の開拓など、あらゆる方面での活動を通して新しい社会貢献の形を提案し、“髪”を通して誰もがつながる「生まれ変わり体験」の実現を目指す。

アピアランスケアに着目
髪を通した体験を届ける

 ヘアドネーション、ひいては医療用ウィッグに注目したのは、昨年秋にブランド担当になった小路恭子フィーノ マーケティング部 ブランドアソシエイトだ。「『フィーノ』は生活者のみなさまに育ててきていただいているブランドなので、私たちがお手伝いできることとして、美しい髪を楽しむことを諦めていた人に対して、美しさが生まれ変わるような体験を届けたいと考えたのがきっかけ。『フィーノ』の製品を手に取っていただくことだけでなく、今はなかなか美容を楽しめない方に対してもブランドを通して何らかの感動体験を味わっていただきたいと思い、医療用ウィッグに注目した」(小路ブランドアソシエイト)。ヘアドネーションをする人にとっては髪型や気分が変わる生まれ変わり体験を、ウィッグを受け取る人(レシピエント)にとっては再びヘアデザインを楽しむという選択肢を届けるという。

 さらに注目したいのは、日本人の死因第1位はがんということだ。日本人の死因は1981年以降、がんが39年間トップで、死亡者数は年々増加している。患者数も増えており、がんの罹患者は2人に1人ともいわれる。がん治療と同時に社会復帰を目指す人も多く、「フィーノ」ではアピアランス(外見)ケアにも着目。国内にはいくつかのヘアドネーション団体があるが、レシピエントを子どもに設定している場合も多い。「フィーノ」が本プログラムでタッグを組むNPO法人全国福祉理美容師養成協会(以下、ふくりび)は、幅広い年代の人に医療用ウィッグを有償で届けていることが特徴だ。「がんは死因1位であると同時に現代では治る病気になりつつある。治療をしながら社会復帰を目指し、チャレンジしている人が多い中で、外見への社会的な偏見を感じ、つらい思いをされている方もいる。そんな人にウィッグをお届けすることで、社会復帰へのお手伝いになればと考えている」(赤阪裕実フィーノ ブランドプロデュース部 PRマネージャー)。アピアランスケアへの理解が深まるように多くの人に知ってもらいたいというビジョンがふくりびと一致したという。

 また売り上げの一部を寄付するという選択肢もあったが、ヘアドネーションという体験を伴う活動にすることで髪の毛を寄付する人にとって自分ごと化を目指す。そこで「フィーノ オリジナルドネーションキット」を制作。赤を基調とした封筒と、カットする際に使用するゴムを用意し、公式サイトから申し込めるほか、ふくりびが提携する全国約120のサロンで配布する予定だ。SNSで拡散されることの多い「フィーノ」だからこその視点で、どうやったら取り組みを広げられるか、興味を持ってもらえるかを考慮したという。プロジェクトの始動を発表すると、「一緒に取り組みたい」という声が美容室からも寄せられた。

 「信頼できる団体なのか、きちんとウィッグになっているのか、何年も伸ばした大切な髪の毛を寄付することに不安を感じる人も多い。15年以上の歴史のあるブランドだからこそ、信頼があることは強み。ヘアドネーションは昨今注目されることも多いが、一過性のブームで終わらせるのではなく、中身のあるプログラムへと育てたい。今後は、キットを置かせていただけるサロンも開拓し、広げていきたい。また、SNSを通じた企画も検討している。“する”ことが全てではなく、知って広めてみようという思いも大切にしたい」と赤阪PRマネージャーは話す。

15年にわたり愛される
ロングセラーブランド「フィーノ」

 「フィーノ」は2004年に誕生したロングセラーヘアケアブランドで、国内ではヘアマスク“プレミアムタッチ 浸透美容液ヘアマスク”(税込1078円 ※編集部調べ)とヘアオイル“プレミアムタッチ 浸透美容液ヘアオイル”(税込1298円 同)を展開する。ヘアマスクはインバストリートメント5年連続売り上げ1位(インテージSRI+インバストリートメント市場17年3月〜22年2月金額シェアSKUランキング)、ヘアオイルはアウトバストリートメント売り上げNo.1(インテージSRI+アウトバストリートメント市場21年3月〜22年2月金額シェアSKUランキング)と、両製品ともに人気を集めている。ドラッグストアで手軽に購入でき、滑らかな仕上がりへの満足度の高さで、幅広い世代から支持されている。特に若年層の間ではSNSで話題になり「#とぅる髪」で拡散。近年の艶髪ブームも追い風になっている。

 「ヘアマスクとヘアオイル、ともに“とぅる髪”で評価されている。この“とぅる髪”という表現は生活者の方が発信されていた“とぅるとぅるになる”というワードから着想を得て打ち出している。『ダメージヘアで切るしかないと諦めていた』ときに、『フィーノ』を使ったところ、やみつきになるような手触りの髪が手に入ったと満足の声を寄せていただき、その紹介がヒットした」と小路ブランドアソシエイトは話す。

 グローバルではシャンプーやコンディショナーも展開するが、国内ではヘアマスクとヘアオイルの2品にアイテムを絞って展開しているのも特徴だ。「昨年発売したヘアオイルは150回以上もの試作を経て、これであればヘアマスクでお届けしている“生まれ変わり体験”をヘアオイルでもお届けできると自信を持って発売した。どちらもスペシャルケアアイテムとして、お手持ちのアイテムにプラスして使っていただけるのも強み」と赤阪PRマネージャーは話す。コロナ禍でのセルフケアニーズの高まりともフィットして、自宅で丁寧なケアを行う高感度な層の間でもヒットしている。

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