中国最大手EC企業のアリババ(ALIBABA)が運営するECサイト「Tモール(TMALL)」に、「H&M」のオンラインストアが再びオープンしたと複数の現地メディアが報じた。中国の新疆ウイグル自治区で生産された新疆綿の使用中止を巡る問題により、2021年3月に同ストアが“削除”されて以来、およそ16カ月ぶりとなる。本件について、「H&M」と「Tモール」はコメントを差し控えるとした。
「H&M」は、18年に「Tモール」に初出店。同ブランドを運営するH&Mヘネス・アンド・マウリッツ(H&M HENNES & MAURITZ以下、H&M)は20年9月、中国による少数民族ウイグル人への強制労働問題などが報じられたことから、新疆ウイグル自治区に工場を持つ中国企業との取引停止や、同自治区で生産された綿花の調達の中止を発表した。しかし21年3月24日に、中国共産党の青年組織である中国共産主義青年団が、中国版ツイッターのウェイボー(Weibo)に「新疆綿について虚偽のうわさを流してボイコットしておきながら、中国で儲けようだって?それは甘い考えだ」とH&Mの声明とともに投稿したことがきっかけとなり、中国側からの批判が激化。「Tモール」をはじめ、中国第2位のEC企業JDドットコム(JD.COM)や同第3位のEC企業ピンデュオデュオ(拼多多、PINDUODUO)が運営するECサイトなどから「H&M」の商品が消え、モバイルアプリも中国の大手アプリストアから削除された。現地メディアによれば、現在でも「Tモール」以外では「H&M」の商品を検索できないという。
「H&M」は21年3月の時点では中国で500店以上の実店舗を運営していたが、現在は約380店となっている。なお、コロナ禍によるロックダウンの影響などもあり、中国での1号店である上海旗艦店は22年6月に閉店した。