ファッション
連載 ファッション業界人も知るべき今週のビューティ展望 第82回

カーボンニュートラル実現に向けた課題とは?

有料会員限定記事

 ビューティ・インサイトは、「WWDJAPAN」のニュースを起点に識者が業界の展望を語る。今週はカーボンニュートラルにまつわる話。(この記事はWWDジャパン2022年8月22日号からの抜粋です)

【賢者が選んだ注目ニュース】
ロレアルが北アジア全拠点でカーボンニュートラルを達成
「SK-Ⅱ」唯一の製造拠点、P&G滋賀工場を公開 世界に4つしかない環境リードサイトの取り組みとは?

 欧州ではカーボンニュートラルに向けた取り組みは企業にとって死活問題であるが、いまだ石炭火力に頼るアジアなどのサプライヤーに対してCO2排出量削減を要請することがいかに難しいかは想像にかたくない。特に中国は、石炭火力発電が半分以上を占めCO2排出量は世界最多だ。その中で、ロレアルが中国本土や日本を含めた北アジアゾーンでカーボンニュートラルを達成したのは、CSR活動の枠を超えて、欧州の政策に対して真摯に取り組んだ結果であることが見て取れる。これは、欧州の政策が、スコープ1(自社の燃料の燃焼などによる温室効果ガスの直接排出)とスコープ2(自社が購入した電力・熱・蒸気の使用に伴う温室効果ガスの間接排出)の削減達成に加えて、算定が難しいといわれるスコープ3(輸送や通勤、製品を製造から廃棄するまでのサプライチェーン全体の温室効果ガスの間接排出)の削減が含まれているからだ。そして、その政策で投融資先の排出削減を管理しなければならない金融機関もスコープ3の管理・削減を注視するからである。

 スコープ3にはカテゴリーが15あり、例えば、製品の包装のプラスチックの製造や廃棄過程での排出量も含まれる。プラスチックはCO2排出だけの問題ではなく、例えば2018年に米国の国際NGOのAs You Sowの呼びかけにより、消費財を扱う大手上場企業に対し海洋プラスチック問題への対策を求める国際的な機関投資家連合「Plastic Solutions Investor Alliance」が発足され、プラスチック製の包装容器を問題視し、代替品開発など具体的な対策を取るように働きかけている。

この続きを読むには…
残り1719⽂字, 画像0枚
この記事は、有料会員限定記事です。
紙版を定期購読中の方も閲覧することができます。
定期購読についてはこちらからご確認ください。

関連タグの最新記事

最新号紹介

WWDJAPAN Weekly

リーダーたちに聞く「最強のファッション ✕ DX」

「WWDJAPAN」11月18日号の特集は、毎年恒例の「DX特集」です。今回はDXの先進企業&キーパーソンたちに「リテール」「サプライチェーン」「AI」そして「中国」の4つのテーマで迫ります。「シーイン」「TEMU」などメガ越境EC企業の台頭する一方、1992年には世界一だった日本企業の競争力は直近では38位にまで後退。その理由は生産性の低さです。DXは多くの日本企業の経営者にとって待ったなしの課…

詳細/購入はこちら

CONNECT WITH US モーニングダイジェスト
最新の業界ニュースを毎朝解説

前日のダイジェスト、読むべき業界ニュースを記者が選定し、解説を添えて毎朝お届けします(月曜〜金曜の平日配信、祝日・年末年始を除く)。 記事のアクセスランキングや週刊誌「WWDJAPAN Weekly」最新号も確認できます。

@icloud.com/@me.com/@mac.com 以外のアドレスでご登録ください。 ご登録いただくと弊社のプライバシーポリシーに同意したことになります。 This site is protected by reCAPTCHA and the Google Privacy Policy and Terms of Service apply.

メルマガ会員の登録が完了しました。