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「H&M」にグリーンウォッシュ疑惑!?原因は世界標準の測定ツール

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 欧米では、これまで法的な規制の対象外だった、企業の“環境に配慮しているという主張”への監視が強化されている。ノルウェー消費者庁はこのほど、世界のアパレル小売企業が参加する業界団体のサステナブルアパレル連合(SUSTAINABLE APPAREL COALITION以下、SAC)と技術パートナーのヒグ(HIGG)社が提供する素材の環境負荷測定ツールのヒグ・マテリアルズ・サステナビリティ・インデックスのデータに基づき環境配慮の主張を展開していた「H&M」と「ノローナ(NORRONA)」に対し、「誤解を招き、違法である」と通知した。業界唯一の共通ツールとして幅広く活用されている同ツールに対するこの決定は、いかに透明性を推進していくべきかという重要な問題を提起する。(この記事はWWDジャパン2022年8月22日号からの抜粋です)

 ノルウェー発のアウトドアブランド「ノローナ」は、ヒグ・インデックスから算出したデータを用いて、オーガニックコットンのTシャツが通常のコットンと比較して温室効果ガス(以下、GHG)排出量が14%、化石燃料の使用率が9%、水使用量が88%、水質汚染が47%少ないと主張していた。これに対しノルウェー消費者庁は、データは特定の製品ではなく、平均的な綿繊維についての数値であり、消費者の誤解を招くと指摘。主張された数値は「真実かつ正確」であるという証明が不十分だとした。

 ノルウェー消費者庁は、「世界的な平均数値を用いる場合、資源の使用方法やそのインパクトにおける地域差を把握できない点が主要な課題だ。綿花の栽培方法や水使用量などは地域や農家ごとに異なり、気候や降雨量、灌漑技術は、農家や国、地域によっても大きな違いがある」と6月16日の決定で記載している。さらに、ヒグが比較用途ではない古いデータを一部で用いていることや、有機農法における有機肥料からのGHG排出量を考慮していないと指摘した。「ヒグ・インデックスがGHG排出量の計算に肥料分を含んでいない場合、有機綿花と通常綿花の環境負荷の差は小さくなるか、なくなる可能性もあり、結果は大きく変わるだろう」と述べ、「ノローナ」に対し8月14日までにヒグ・インデックスに言及した全てのマーケティングの変更および商品ページの消去を求めた。

 ヨルゲン・ヨルゲンセン(Jorgen Jorgensen)=ノローナ最高経営責任者(CEO)は、消費者に「参考情報を提供する」ためにライフサイクルアセスメント(LCA、製品の資源採取から廃棄・リサイクルに至るまでの環境負荷を評価する手法)を活用しており、一般的なデータを特定の製品情報に活用することを認めないノルウェー消費者庁の姿勢に異議を唱えている。しかし、ヒグ・インデックスやほかの同様のツールが、生物多様性や耐久性、最終使用、プラスチック汚染などの影響についても含むよう改善すべきであるという点については同意している。

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