毎週発行している「WWDJAPAN」は、ファッション&ビューティの潮流やムーブメントの分析、ニュースの深堀りなどを通じて、業界の面白さ・奥深さを提供しています。巻頭特集では特に注目のキーワードやカテゴリー、市場をテーマに、業界活性化を図るべく熱いメッセージを発信。ここでは、そんな特集を担当記者がざっくばらんに振り返ります。(この記事は「WWDJAPAN」2022年8月22日号からの抜粋です)
村上:業界人の海外出張が再開し、帰国した方から「パリやニューヨークが変わっていた」という声を多く聞くようになりました。それで今回、出張した/駐在する業界関係者に変化を聞いたり、現地に住む人に取材していただき、最新情報をまとめました。大塚さんは6月にメンズコレ取材でヨーロッパに出張しましたよね。
大塚:街を見る時間がほとんどなかったのでちょっと語るのが難しいですが(苦笑)、2年半前と比べると、パリコレの活気は正直、変わっていなかったんです。まさにコロナ禍から“日常”に戻ったタイミングだったんですよね。みんなノーマスクでしたし、街が一体となって実施する音楽祭もいつも通り行われていて、みんなハグし合ったり、お酒を飲みながら爆笑していたり。「今を楽しもう」というムードにあふれていました。
村上:出張組からは、「すごく活気にあふれている」という声が大半でした。それから街のさまざまな場所でPCR検査を受けられたり、ニューヨークでは屋内での感染を心配する人のためにレストランの外、道路沿いで食事ができるように環境が整ったり、政府が活気の下支えをしていると感じた人が多かったみたい。「(コロナ禍で)失われる時間をこれ以上増やしたくない」という声もありました。
大塚:どうしても日本と比べてしまいますよね。ロンドンもパリ同様、ノーガードでしたが、ミラノは静かでしたね。トラムに乗ると、一斉にマスクをつける感じで、政府の政策もあるのかもしれませんが、イタリア人は意外に慎重だと感じました。僕もオミクロン株の時は、かかっても軽症の人ばかりだし、もっと行動制限なく活動すべきだと思いましたが、最近かかった人の症状はつらそうで、何が正しいのかは考えてしまいました。
村上:そうですね。レストランの話に戻ると「屋外」はひとつの答えかもしれないですね。パリでは廃墟だった場所で屋外レイヴイベントが開催されて、三密になりがちなクラブに比べて盛り上がっているとか。より開放感のある環境でカルチャーが形成されることになりそう。ファッションにも影響が出そうです。ポジティブな部分に気付けるきっかけを作りたいです。